青い体験 <無修正版> [DVD]

監督 : サルヴァトーレ・サンペリ 
出演 : ラウラ・アントネッリ  アレッサンドロ・モモ 
  • KADOKAWA / 角川書店
2.53
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感想 : 7
4

『青い体験』、昨年GYAOで一度観たけど好きな映画なので再鑑賞。ジャンルは「筆下ろしもの」と言われているそうですが身もふたもないので、私は「性の目覚めもの」と呼んでます。性春映画です。

ヒットして、洋画劇場でもよく放映されていたらしい。他の方のレビューによるとエガちゃんが大好きな映画。YouTubeの大川興業チャンネル『エィガ一刀両断』でエガちゃんが熱く語ってるのが面白すぎて爆笑しました。しかもエガちゃんの解説は見るべきツボをちゃんと押さえてる!さすがエガちゃん!

ラウラアントネッリがとにかくかわいい!当時32歳……見えません!今の32歳だと若いなって感じだけど、70年代当時の感覚で、主人公の中学生ぐらいの目線だとけっこうな熟女だよねえ……。
母親を亡くした家族にお手伝いさんとしてやってくるのがラウラ演じるアンジェラ。この名前がもうそのまま、マジ天使ってやつ。天使、神の使者ですね。イタリア映画では大事なポイント。
アンジェラや、友達のお姉さん(ティナオーモン)が着ている服がオシャレだし、家具やキッチンのタイルなどもオシャレで良い。

この家族は男4人で、布の生地屋(日本で言うと反物屋か)のお父さん、お兄ちゃん、主人公ニーノ、下に小さい弟。
お母さんを亡くしたから、中学生のニーノはお母さんが恋しいマザコン的なのと、思春期だからエッチなことを考えるのがごちゃ混ぜになっている。ここもすごくイタリア的。

小さい弟はまだ人の死をよく理解できていない。この生と死の部分、アンジェラはお母さんが死の間際に雇っていて、お母さんが幽霊として家にいるという話がずっとあって……もちろん幽霊ではないけれど、イタリアのカトリックの要素。カトリックって結婚や性交渉に制約があるけど、イタリアの男性って、、ねえ。そこの矛盾がよく表現されている。

ニーノはアンジェラに対して、今でいうとパワハラ&セクハラで色んなエッチなことを要求して、それが段々とエスカレートしていく。
アンジェラの方は、最初は「子供のやることだから」って感じだと思うんだけど……。

邦題は『青い体験』だけど、原題は『Malizia』、英語だとmaliceで悪意という意味なので全然違う。邦題のようなエロい感じはない笑。
エガちゃんの解説で納得したのは、ニーノはS、アンジェラはMだってこと。再鑑賞したら、アンジェラが誘ってんのか?という雰囲気もあるので不思議に思ってたけど、エガ解説でなるほど!と思った。それがラストシーンの、谷崎作品でもよく描かれる「SとMの逆転」につながる。

撮影監督は超一流のヴィットリオストラーロ、32歳の頃に手がけている。ベルトルッチと若い頃から組んでて、『暗殺の森』や『ラストタンゴインパリ』より後の作品。
ストラーロの手腕が感じられるのは、やっぱりラストの追いかけっこのシーン。あのシーンはちょっとホラー映画っぽいのがすごく良い。

監督はサルヴァトーレサンペリで、『スキャンダル』でもストラーロと組んでいる。『スキャンダル』もけっこう良い映画でした。

イタリア映画が面白いのは、色んなジャンル……ネオレアリズモ、ソード&サンダル、マカロニウエスタン(マカロニコンバットやアクション)、イタリア式コメディ、イタロホラー(ジャッロ)、モンド映画、官能映画……と、人脈を追うと色々なジャンルが交錯すること。
観る映画のジャンルって偏ってる人が多いけど(たぶん私もだいぶね)、偏らず、ジャンルに偏見を持たずに観た方が楽しいと思う。

というか、退屈なベルトルッチの映画を観るよりも、『青い体験』を観た方が断然面白いと思うんだけどなあ……(意見には個人差があります)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 青春・スポーツ
感想投稿日 : 2021年3月3日
読了日 : 2021年2月25日
本棚登録日 : 2021年2月25日

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