クリーピー 偽りの隣人[DVD]

監督 : 黒沢清 
出演 : 西島秀俊  竹内結子  川口春奈  東出昌大  香川照之  藤野涼子  戸田昌宏  馬場徹  最所美咲  池田道枝  佐藤直子  笹野高史 
  • 松竹
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感想 : 108
4

黒沢清監督の『クリーピー 偽りの隣人』、ようやく鑑賞。ブクログの評価がやたらと低いので驚いたけど、観たら納得。冒頭からツッコミ所がめちゃくちゃ多くて、賛否両論映画だと思います。でも私は好きです。

これ竹内結子が出てたのか……。私は昔竹内結子さんが好きな時期がちょっとだけありました。直後に中村獅童と結婚して「くそが!!」(ガンバレルーヤのよっちゃん風)となって、さらに獅童が岡本綾と浮気するという……。獅童に対してはもはや恨みもなにもありません。竹内結子さん、良い女優さんだったと思うので残念です。

黒沢清作品は少ししか観たことない。『ドレミファ娘の血は騒ぐ』『DOOR3』『CURE』のみ。『ドレミファ娘』は置いといて、他のふたつはけっこう怖かった。その怖さは通常の怖さではなくて、不穏な感じ。常に不協和音が鳴り響いてるような怖さです。不条理で変な感じ。

この映画で好きなのは、単純に後半に何個かジャンプスケアのシーンがあるからです。バァン!→ヒイッ!となる。それがなければ★2ぐらいだったかもしれない。ほんとにツッコミ所が多くて、話の前提からおかしい……そもそもタイトルが「偽りの隣人」だし、香川照之は最初からずっと怪しい人だもんね笑。

ただ、他の方のレビューで書かれている「キャラクターの背景の描写不足」という点、これは私は良い点だと感じました。意図的に省略している。竹内結子演じる妻がなぜああいう行動を取るのか?ふたりの間に子供がいないし、想像力で補える部分です。意図的な空白があって、そこが怖い。

西島さんが香川さんに「狂ってる」と言われるけど、私もそう思った。西島さんも狂ってるという話。他の映画でもわりとあるけど、主人公が泥沼にハマっていって、本人がどんどん狂っていく……というパターン。描写不足で、はっきりとそうなってないけど。
私はてっきりバッドエンドになるかと思っていて、そうなって欲しかった。ラストで藤野涼子を撃ち殺すかと思いました。そういうのをかつて作ったのが北野武で、だから私は北野作品が好きなんです。

ちなみに、西島さんも北野武好きで有名ですね。北野武と黒沢清から教えを受けたのが『寝ても覚めても』の濱口竜介監督。

フォロワーさんが黒沢清とポンジュノのことを書かれていて、これ観たら納得。『パラサイト』の元ネタのひとつじゃないかなと。『パラサイト』の元ネタ、私が思ったのは他にトリュフォーの『終電車』(さらにその元ネタは『生きるべきか死ぬべきか』)。

他に『愛のむきだし』なども連想。この映画は隣人との話なので、それだと『レッドファミリー』。こちらは韓国映画なので38度線の社会派要素が入っているけど、『クリーピー』は隣人トラブルやコミュニケーションの断絶の話なので、とても日本的。

香川さんの演技を褒める方が多いけど、けっこう見慣れてしまっているので、いつもの香川照之だった。私が香川さんで一番好きなのはなんだろう……カマキリ先生のウルトラセブンネタ。じゃなくて、鬼平。でもなくて『ゆれる』ですかね。
香川&西島コンビは『MOZU』で、西島さんがメシ食ってるシーンはもはやシロさんにしか見えない笑。

それより藤野涼子さんの演技の方が良かったです。この子は色々やるから良い。今年の大河にも出ますね。川口春奈も好きです。

それで、こういうキャストと、製作委員会に木下グループが入ってるのを忘れちゃいけない。町山さんが以前「社長さんの酔狂」とも言ってたけど、映画がめっちゃ好きで、古い日本映画の特集上映会も協賛していたりする。でも変な会社で、ちょっとズレていて、ガチで評価されている作品は少ないんじゃないかなあ。『クリーピー』もそういう傾向の映画だと思う。キネ旬では評価されてるけど、ヨコハマ映画祭ではベスト10に入ってません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス・クライム
感想投稿日 : 2021年2月15日
読了日 : 2021年2月15日
本棚登録日 : 2021年2月15日

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