東日本大震災が起きる少し前に劇場公開されていたが、現実に起きた津波を想起させるとして震災後に公開を中止したらしい。そういえばこんな映画の予告を見たような記憶はある。映画が始まる前に冒頭で津波の映像があるというエクスキューズがある(もちろん震災後の後付け)。作り物と分かっていても、現実の津波を連想せずにはいられない。とても痛ましい映像だ。東南アジアで津波に襲われたフランス人ジャーナリストのマリーは九死に一生を得る。臨死体験以降テレビの仕事がうまくいかず、執筆活動を始める。薬物中毒の母親を児童保護機関からかばう健気な双子の兄弟ジェイソンとマーカスは、事故で兄を失ってしまい殻に閉じこもる。死者と語ることのできる霊能者ジョージは自分の能力に嫌気がさし、工場で地道に働き生計を立てる。3つのドラマが重なり合って、あの世とは何か、愛する人に先立たれた苦悩、そして生きる意味を問いかける。知っている俳優はマット・デイモンしかいないが、彼がまた深みのある演技で物語に重厚さを与えている。監督のクリント・イーストウッドが人生の終盤で死とヒアアフター(そのあとの世界)を優しい眼差しで描いた感動作。イーストウッドの映画にしては後味がいい
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- 感想投稿日 : 2012年5月29日
- 読了日 : 2012年5月29日
- 本棚登録日 : 2012年5月29日
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