行間を読み切れないように感じる物語だった。300ページ少々でそれほど長くもなく、読み出すと惹き込まれてどんどん進みたくなるのに、読み終えるのに結構かかった。
一方的な「かわいい」や矛盾をはらむ「かわいい」。現実世界とソーシャル世界の関係性や各々が感じる密度。社会が問題視する事柄と個人の感情の隔たり。思いやりと下心。知ることで理解して出来上がっていく人物像がその人の全てではないし変化することも有り得るのに、いざ目の当たりにすると受け入れられなくなることもある。味方でいることはとてつもない覚悟が必要だと感じるし、1歩踏み出す勇気さえあればなんとでもなるようにも感じる。
総合出版社勤務の橘は人権に関わる社会問題を扱う小冊子の編集者であり、スマホゲーム「リンドグランド」の迎撃団員。児童福祉専門家の黒岩の担当者であり、黒岩から届いたメールによってある女児との関係性を知る。
この物語は、自分の中での感じ方を変えながら常に心の中にあり続けるように思う。変わったときにまた読んでみよう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月29日
- 読了日 : 2022年9月28日
- 本棚登録日 : 2022年9月28日
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