申し訳ないことに残念ながら、個人的にはなんで小説なんだろうと思うような、するっと抜けてしまうものだった。
主人公の美久は莫迦正直過ぎるほどに正直。昔の少女漫画鉄板のような存在。それがまた良いと云う人も居るかもしれないが、個人的にはそれで心動かされる依頼人の気持ちがわからなかった。抜けすぎている、のが狙いかもしれないが、逆に失敗しているような気もする。
それを証明するかのように、夫婦喧嘩の仲裁をしようとして見事失敗している。主人公の言葉で心動くのなら、おそらく夫婦喧嘩もそんなヒートアップしなかったのではないか、と思う。
探偵役の悠貴はさらに上を行く設定というとおり、常に上から目線で人をけなすことしかできない高校生。徹頭徹尾冷たいままなのかと思えば、ラストになんでそんなことしたのだろう、と思うオチがある。残念。
就活で中身がない空っぽだと思う気持ちはわからなくはない。落ちる度に自分の存在を否定したくなる気持ちもわかる。だがそう思うには、美久は正直過ぎて空回りしている。あの大事な宝物で「なんとなく」を脱することができるのか、続編では描かれていくのだろうか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日常ミステリ
- 感想投稿日 : 2016年1月4日
- 読了日 : 2016年1月3日
- 本棚登録日 : 2016年1月4日
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