出てくる料理がどれも美味しそうで、とにかくお腹が減ります。
夜の23時頃に読んでしまって、思わず冷蔵庫から卵を取り出してオムレツを作ろうかと逡巡した位。
とは言え料理本ではありません。
エリートサラリーマンが脱サラしてバルを開き、行方をくらましていた友人と手の届く範囲で困っている人を救うお話です。
夢をテーマに書かれたと似鳥さんが仰っていたように、夢を追うとはなんなのか、が軽めに描かれています。
最初のエピソードのすれ違う恋人のお話はどことなく映画の『花束みたいな恋をした』を彷彿とさせて切なくなりました。(あれ程酷くはないんですけれど)おい、勘弁してくれよ!と思っていたら最後に天を仰ぐ羽目に。
2番目のエピソードは実力があるのに道化のヒール役を甘んじて受けているプロレスラーのお話。
息子とプロレスに対する愛の狭間で揺れる葛藤に、頑張れ!と応援してしまう。
途中軽いミステリ要素もあって読後感も爽やかでした。
と言ったように様々な形で各人の夢を追う姿が描かれており、非常にさくっと読めますので少し疲れた時や重たいものを読んだ後などにお勧めです。
最後は主人公貝原の夢の正体が明かされます。
そしてまた呟く。おい、勘弁してくれよ!
ずしんと残るお話ではないですが、ほんのり照らしてくれるランプのようなお話の数々でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
フィクション
- 感想投稿日 : 2023年8月24日
- 読了日 : 2023年8月24日
- 本棚登録日 : 2023年8月24日
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