2ヶ月ぶりにレーエンデ国に戻って参りました。
重ための作品が続いたので、さーてファンタジーで少しでもキラキラするぞー!と思っていたら冒頭からカウンターパンチ…
うん、これはヘビーな帰国になるな…と覚悟を決めました。
そうだ、これは革命の話だった…。(そして前作もキラキラばかりでも無かった)
前回から100年後の話、戦争が続きレーエンデの民は抑圧、搾取されている世界。
どことなくルキウス・タルクィニウス皇帝統治下のローマを思い描きつつ、主人公テッサと訳あって生家から逃げ延びた名家ヴァレッティ家の次男ルチアーノがどんどん不穏なフラグを立てて行くのに内心冷や冷やしながら夢中で読み進めました。
なぜなら、冒頭で早々にルチアーノが『残虐王』となる事が明言されていたからです。
こんな前向きで頑張り屋のお兄ちゃん大好きっ子が闇堕ち…気が気ではありません。
このお兄ちゃんが闇堕ちに多大なる影響を及ぼしてしまうのですがそれは後程語らせて頂くとして。
前回ではレーエンデの世界観が丁寧に描かれていたので、厳しくも美しい世界に私もすっかり陶酔していたのですが、今回はそれ所ではない。
圧政を強いている帝国からとんでもない重税を課せられ、テッサの住むダール村は税金の支払いを遅らせて貰う代償に村から4人帝国軍に従軍させる事になります。
これにテッサと幼なじみのキリルとイザークが志願し3人は平和な村人から歴戦の戦士へと変貌を遂げて行きます。
テッサの将来の展望が『お嫁さんになる事』から『レーエンデの民の救世主になる事』に変わる様が胸を抉られるのですが、ここから胸アツの革命軍が結成され快進撃に少し希望が見えて来ます。
が、いつの世も革命には悲劇が付き物でして…。
分かる方には分かってしまうかも知れませんが終盤どんどん過酷な展開になって行き遂に心配していたフラグ回収が行われ、これ、ジャンヌダルクやないか!!!と一度本を閉じてしまいました。
辛すぎて見ていられない場面に突入します。
前後しますがその前には恐れていたルチアーノと美形すぎるお兄ちゃんエドアルドとの再会がありました。
陳腐な感想ではありますが読まれた方の多くはこう思ったのでは無いでしょうか。
お兄ちゃん…可哀想すぎるだろ…
「おかしくなって自死すると思っていた」とまで言われる過酷な運命。
美少年じゃなくて本当に良かった…(謎の安堵感)
ここでお兄ちゃんが吐露する呪いにも似た言葉にレーエンデ国物語は壮大で過酷な歴史物語でもあると実感させられました。
次の第三部の発売も間近ですが、一部のユリア、二部のテッサの思いを繋ぎ、双子の青年がどうレーエンデを変えて行くのか、期待が高まります。
個人的には今作の方が好みでした(結局ヘビーなのが好き)
どんどんブクログの感想が長くなって行きますが、本を語ると止まらなくなりますね。
- 感想投稿日 : 2023年10月5日
- 読了日 : 2023年10月5日
- 本棚登録日 : 2023年10月5日
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