プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書 2423)

著者 :
  • 中央公論新社 (2017年3月21日発売)
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 第1章から第6章まではプロテスタンティズムの歴史について、わかりやすく書いてあります。そのため、世界史やキリスト教についての知識がなくても理解できます。

 第7章のリベラリズムとしてのプロテスタンティズムが興味深かった。以下、個人的に関心を持った文章を抜粋(「」内は編集しました)。
 
・ピューリタンたちがアメリカに移住し、最終的には国 
 営の教会によって独占されていた宗教市場を自由化、
 あるいは民営化しようとした。

・ヨーロッパの宗教市場は独占であるのに対し、アメリ
 カは競争市場である。新プロテスタンティズムは競争
 を制し、市場で勝利を収めた。巨大化していく姿はさ
 ながら、市場を独占する「GAFA(Google、Amazon、
 Facebook、Apple)など」の大企業のようだ。
 
・…宗教における自由競争がアメリカ社会の深層構造を規
 定しているのだろう。

・この世での成功がアメリカでは宗教的な救済の証明と
 なった。…アメリカでは与えられた人生で成功した者こ
 そが神の祝福を受けた者だと諭された。

・…市場で成功し、勝利した者こそが正義であり、真理で
 あり、正統になる。これがアメリカ的なイデオロギー
 に宗教が与えた影響であろう。

 現在ある政治や社会、経済の姿に宗教も大きな影響を与えている。宗教や慣習といった観点からも社会を考察できるように、関連図書を読みたい。

  

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2021年4月16日
読了日 : 2021年4月16日
本棚登録日 : 2021年4月13日

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