〈格差〉と〈階級〉の戦後史 (河出新書)

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  • 河出書房新社 (2020年1月25日発売)
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感想 : 10
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2000年代にあった「『格差論争』」に終止符を打った」本ということで読む。

20年経った現時点からわかるのは、確かに、日本社会は「格差社会」に「なった」ということ。その原因は、次の3つに思われる。

1つは、高齢化。2つめは、非正規雇用。3つめは、雇用されている者のなかでの格差拡大(専門職vs労働者)。

これまで、雇用統計の推移から、非熟練層が、自営業から非正規雇用に移っていったのが、この数十年の流れだと思っていた。それは、非熟練層を、経済的に、かなり厳しい状態に追い込む動きになる。

それと、2000以降の企業の利益と労働分配のトレンドは、全体として労働者への分配を減らして、かつ、その中で、格差をつけて、出来る人間に厚く報いて、それ以外の人間の報酬を抑え込む企業のあり方があらわれている。

アンダークラスが、ある割合に達すると、いつトランプ現象(あるいは、サンダース現象?)のようなポピュリズムに火がつきかねない。いや、今回の衆院選の維新の躍進をみると、日本ももうそのレベルに達しているんだろう。

いずれにせよ、格差をデータで確認したい際、立ち戻る本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年11月7日
読了日 : 2021年11月6日
本棚登録日 : 2021年10月28日

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