内面への旅 (シュタイナーコレクション 2)

  • 筑摩書房 (2003年8月1日発売)
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三次元に住む人間の感覚器官は物理する肉体によって管理されており
集合意識である生命体は見守りながら成長を待っている
したがって私達は感覚を楽しいとか恐いとか憂鬱だとか
キレイだとか甘いとか臭いとか痛いとかうるさいとかの
比較だけでとらえている
強い心の意志を発揮もできないまま外からの物的誘惑に引きずられてしまう
体験によって感じたもののすべてが尻切れトンボとなり
確信を持てずに不安が付きまとっている
上手くしたものでこの不完全な状態があるからこそ個意識が少しずつ芽生え
考えることを始め自分の個性を育て意志を持つようになる

目の前に見ている表面だけで思い込み激しく追究して
執着して得た感覚を物質的価値観に当てはめる
物体を生物とたらしめている集合意識を無視してしまい
肉体と相対している精神性を見落としてしまっている
だからこそ迷わず全勢力を注ぎ
物世界の急所を押さえて操る権利を得ようと躍起になれる

全体観を忘れ去ったからこそ所有感覚を生み出すことができた
面白いことにこの一見単細胞な行動が自律への足がかりになっていることも
全体観を持ってみるまで知ることができない

人間は何らかの仕組みの中をすべてだと思い込んで
限定界を自由に生かされている状態のようだけれど
その明き盲の人間自らがその見えない仕組みに関わって
自分を自分で導いている
自分の足を食べながら成長する蛸のように
無限軌道に乗ってより広くより鮮明に
新しい美を生み出しては飲み込み消化して素材に戻し更なる美を求める
豊かさを飲み込んで単純に洗練された美を生み出し
いじくり回して崩し又新たな秩序を組み立てる

感覚器官は物質界を体験するための道具であるから
社会的で共通の価値観を持とうとする
創造と美の表現は外的な感覚のコピーに止まらずに
精神に持ち込んで消化し
個意識による反射を物質的に翻訳する作業である

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年3月4日
読了日 : 2012年3月4日
本棚登録日 : 2012年3月4日

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