ファタモルガーナの館-The house in Fata morgana- あなたの原典に至る物語V (GA文庫)

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  • SBクリエイティブ (2016年1月14日発売)
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感想 : 1
5

この一冊分の話は「始まりを~」の方には一切なかった。
「始まりを~」の方の終わりかたも好きだが、因果とするにはいささか根拠が薄いような気がしたから、モルガーナの物語自体に深みが出てきて面白くなった。
「始まりを~」でも根拠としては分からなくもないが、逆恨みとしては過剰ともいえるような復讐のような気もしたが、あんな人生を送っていたのなら納得した。
まさか彼女たちも因果に関わっているとは……。意外。

モルガーナもただの悪い魔女ではなく、辛い思いもたくさんした普通の少女だったということが印象的。
彼女にとっては母親も誰も、何もかも信じられない中で、娼館の彼女たちや、傷跡を消すための薬を塗ってくれるあの青年だけが信じることができ、なおかつ安心できる存在だったと思うと切ない。
モルガーナの生きた時代の信仰を鑑みたとしても、聖女と魔女が紙一重というのが何とも言えないし、皮肉なことだと思う。

ヤコポの話が一番切なかったが、一番好き。
彼のような非力な青年が力を持って君臨するような話は作品とは関係ないが、個人的に好き。
ヤコポの見た目も作中の人物の中で一番好きだった。

そういえば、ミシェルがモルガーナのいた世界の因果を変えることでその後の悲劇を起こさせないようにする話と白い髪の少女の謎が矛盾しているような気がするのは気のせいだろうか?
ミシェルが因果を変えようとしなければ白い髪の少女は登場しないし、彼女が登場しなければミシェルが因果を変えようとはしなかったと思うし……。
親殺しのパラドクスみたい。

それにしてもこんなに面白い小説は久しぶりに読んだ。
世界観も設定も自分好みであったため、これで完結なのは残念な気もする。
願わくば彼らの来世に幸あらんことを。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年3月26日
読了日 : 2017年3月7日
本棚登録日 : 2017年3月20日

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