現代音楽史-闘争しつづける芸術のゆくえ (中公新書, 2630)

著者 :
  • 中央公論新社 (2021年1月18日発売)
4.28
  • (11)
  • (10)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 338
感想 : 22
4

私にとって「現代音楽」とは、奇妙な楽譜で演奏される前衛的なものや、1フレーズを延々と繰り返し演奏するミニマル的なもの、あるいは環境音楽的なもの等々のちょっとマニアックなものだったのだが、本書では現代音楽のルーツを1900年代初頭に求めていて、いわゆるクラシック形式のオーケストラ等で演奏されるタイプの音楽から、その歴史を紐解いている。

そこから、私の思っていた現代音楽に至るまでの歴史や技法などを当時の社会情勢も交えながら、綿密ながらもコンパクトにまとめてあり、難解と思われがちな(実際難解だと思うが)現代音楽についての概要を手軽に知ることができる良い本だと感じた。

なお、本の数行ではあるが、ビートルズの「Revolution 9」についても触れられているところなどは、著者のカバー範囲の広さが感じられ、本書の信頼性を上げているとも思った。

一方で、ドイツの現代音楽の流れからはもう一歩踏み込んで、ごく初期のクラフトワークについてもコメントして欲しかったし、日本でも坂本龍一と土取利行の「ディサポイントメント・ハテルマ」についてもも取り上げて欲しかったな~とも思った次第。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 音楽
感想投稿日 : 2021年4月5日
読了日 : 2021年4月3日
本棚登録日 : 2021年2月27日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする