西鉄ライオンズの番記者・木屋は解雇された選手が元でヤクザの田宮と出会う。木屋の戦死した兄との縁で次第に親しくなっていく2人。さらにその縁はライオンズの花形選手・大下、孤児院の野球少年と輪を広げていく。野球の前では、そんな肩書きなど無縁のように思えたが、やがてその野球を巻き込んで田宮の組に不穏な影が。何よりも大事なヤクザの仁義と、木屋との大切な友情とで板挟みとなった田宮の苦悩が滲み出る。どちらにも筋を通そうとする田宮の男気が素晴らしい。何があっても田宮を慕い続けた木屋も。戦後の余韻を残す時代背景と博多弁も効果的。少し切なくも、暖かい人情味あふれるストーリーだった。
読書状況:読み終わった
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図書館(は行)
- 感想投稿日 : 2017年5月17日
- 読了日 : 2017年5月16日
- 本棚登録日 : 2017年5月17日
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