政治哲学者のハンナ・アーレントは自身の著「全体主義の起源」の中で、ユダヤ人迫害や植民地支配の発生要因を、自国内であぶれた「余計な者たち」のはけ口、生きる道の顛末として考察した。しかしそこには「余計な者たち」がなぜ生まれるのかまでには言及していなかったが、まさかそれを人口学という異分野で説明できるとは思いもよらなかった。ペスト流行による人口減少で危機に瀕していた中世ヨーロッパ。その反動で出生爆発が起き、ユースバルジという問題が起こる。ユースバルジは戦争やテロにはけ口を求める。したがって、世界の均衡を保つには人口抑制が欠かせない。だが一方で、抑制しすぎると少子化問題が起き、国家存続の危機につながる。人口統制とは国家にとって最も厄介であり難しい舵取りを求められる。
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- 感想投稿日 : 2015年9月6日
- 読了日 : 2015年9月6日
- 本棚登録日 : 2015年6月22日
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