多重解決の末に明かされるトリックは著者の代名詞とも言える類のものでややバカミス的ではありますが、ちゃんとオルゴールというテーマが活かされていますし、これによって意外な人物が犯人候補に浮上するという、物語上必要不可欠なものになっているところが秀逸です。
また、冒頭の「月光の渚で君を」は出色の出来ですし、ヒロインの少女ユユの造形も魅力的。切ない余韻が残るラストも良い感じで、非常に充実しています。前作『少年検閲官』と比べると若干設定が緩いのが気になりますが、今年のミステリーランキングで間違いなく上位に入る傑作です。
読書状況:読み終わった
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か行の作家
- 感想投稿日 : 2015年7月27日
- 読了日 : 2015年7月27日
- 本棚登録日 : 2015年7月27日
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