どこに向かって行けばいいのだろう。
何のために頑張るというのだろう。
いつまでこんな日々が続くのだろう。
主人公サクマのそんな心の声が聞こえてくるようだ。
辛いことがあっても我慢したり頑張ったりできるのは、守るべき存在、大切な存在があるからだ。
それがないと、我慢だってできないし頑張れない。
主人公のサクマには、そういった存在がない。
親や周りの人たちから十分な愛情を受けられなかったのかもしれない。
とりあえず生きる。目先の欲望だけ満たされればそれでいい。
しかし、本当はこのままではいけないとも思っている。
自分自身への怒りや憤り、焦りがある。
だから何も考えず自転車で走っているときは心地いいのだろうな。
そして抱えていた怒りがついに爆発してしまう。
どこか遠くに行きたかったのに、行けなくなってしまった。
そんな刑務所での生活は、自由とは対極にあるはずなのに、サクマはやっと解放されたように感じた。
出所というゴールが見えたから。頑張る理由ができたから。
…なんか、せつないな。
人生にはゴールなんてない。
日々同じループを繰り返しながら、進んだり戻ったりしながら、少しずつ変化していく。
みんなブラックボックスを抱えながら生きているんだ。
サクマが新たなスタートを迎えられる日が来ますように。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年2月22日
- 読了日 : 2023年2月20日
- 本棚登録日 : 2023年2月20日
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