心理学研究法入門: 調査・実験から実践まで

制作 : 南風原朝和 
  • 東京大学出版会 (2001年3月22日発売)
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どの研究法を選択し、どこに注意すればよいか、実践的に書かれた良い入門書。私の研究はヒューマン・インターフェースのユーザビリティ調査だが、参考になる点が多々ある。質的調査(観察、面接、フィールドワーク)、量的調査がバランス良く配置され、様々な研究上の困難を回避するための工夫、改良の部分は目から鱗だった。ただ、この本はあくまで入門書であり、実践的だが、実用的ではないので、実際の研究にはメソッドを選んだ上で、さらに上級の文献に進む必要がある。

気になった記述。
・研究の価値・・・情報的価値(意外性と確実性)、実用的価値(応用性)
・帰納的観察(法則の導出)と演繹的観察(法則の妥当性の検証)
・実験観察法では実験者が意図的に観察状況を「操作」するのに対して、自然観察法では観察者が意図的に観察状況を「選択」する。
・質的な分析は、データを解釈、分類、類型化、概念化などの作業から構成されている。
・質的アプローチ:帰納的。全体的視点。研究者の存在の影響の自覚。対象者の視点からの理解。研究者の視点の一時保留。
・サンプル数の選び方(P85)
・準実験における脅威(批判の観点):選択、履歴、測定、成熟
・研究計画:題目、目的と意義、方法、分析の見通し
・研究のセールスポイント:テーマの目の付け所、方法や分析の創意工夫、結果の面白さ、結果の解釈、理論的考察の深さ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本<心理・認知>
感想投稿日 : 2011年7月24日
読了日 : 2011年7月24日
本棚登録日 : 2011年7月24日

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