租税には,国民の生命・財産を保護するための財源を確保する役割だけではなく,経済をコントロールするための「政策手段」の役割もあるという。単に「上」から義務として押し付けられるものではなく,「下」から経済に働きかけるために国民が持つ手段として租税をとらえることができる。
グローバル化が進み,貨幣や企業が国民国家の枠を越えて自由に移動するなかで,国際的な経済活動に対する課税権を国民国家を超えたどのような主体に付与することができるのか。「下」からどのようにアプローチできるのか。「グローバルな『共通課税権力の樹立』」が実現するには,夢物語と思えるほど現在は程遠い地点にある。本書でみられた租税の歴史のように,今後さまざまな議論や論争を経ていくしかないのだろう。
日本の財政についても,議論や論争を重ねて漸進していくしかないのかな,と思った。
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- 感想投稿日 : 2017年3月11日
- 読了日 : 2017年3月11日
- 本棚登録日 : 2017年3月11日
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