戦前の日本の膨張主義がすでに幕末期に萌芽が見られたこと、攘夷実行において関門海峡を挟む長州藩と小倉藩が対立し幕長戦争から維新回天にまで繋がっていくこと、一般にあまり知られていないこの辺が読みどころ。ことに後者は、勅命と台命間で揺れ動く(結局ほぼ日和見に徹する)西国諸藩、また互いに責任を押し付け合う上層部など、国是は攘夷ながらも国情はバラバラだった状況が描かれている。とはいえその間の幕府と諸藩、その後内戦を経て樹立された明治政府は、外国の内政干渉を一貫して排しており、つまり幕末における攘夷は成されたと評価し得る。その一内幕を見れる一冊。
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2022年5月20日
- 読了日 : 2022年5月20日
- 本棚登録日 : 2022年5月20日
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