第三帝国 ある独裁の歴史 (角川新書)

  • KADOKAWA (2021年2月10日発売)
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ナチズム研究の大家である著者が、平易かつ短いページ数でナチズムの最新の研究成果を語る入門書の翻訳版。たまたま手に取ったのはTwitterの「その道の専門家が選ぶ優れた入門書」的なハッシュタグで話題になっていたからなのだが、内容は非常に平易で大学1年生レベルの予備知識がなくても十分に読み進められるものとなっている。

もちろん入門書とはいえ、現代に出版する以上、最新の研究成果の盛り込みが求められる。本書で特に重視されているのは、植民地経済の延長線上にポーランドなどの東欧の占領を位置付ける、という視点である。植民地というと、どうしても欧州の列強がアフリカやアジアに対して行ったこと、というのが通説であろうが、生産力の確保や植民地住民への差別意識などという植民地支配においてみられる事象はすべからくドイツの東欧占領において、確かに共通している。

そうした観点も含めて、ナチズムを学ぶ上での極めて良い良書。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2021年3月14日
読了日 : 2021年3月14日
本棚登録日 : 2021年2月13日

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