南極風 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社 (2015年5月15日発売)
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本棚登録 : 210
感想 : 19
5

ニュージーランドの山=アスパイアリングの魅力的な描写、落石事故による遭難からの決死の脱出劇も臨場感たっぷりで、それだけでも楽しめる。
それに加え、この事故が、未必の故意による殺人だと決めつける検察の異常な訴追。その背後にあるのは何か、不気味さに読み手の興味はいやがうえにも増すばかり。
無実を訴える主人公の森尾ばかりでなく、今回のツアーに参加した面々、弁護士の岸田、そして何より検事の湯沢、それぞれが重要な役割を果たしていて、山岳小説+リーガルサスペンスと、一冊で2度楽しめるエンターテイメントと言っていい。
「・・・人生というのは自分で闘いとるべきものだと思うから」という、主人公の姿勢が最後に勝利を引き寄せ、爽快な読後感となっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 山岳小説
感想投稿日 : 2015年7月20日
読了日 : 2015年7月20日
本棚登録日 : 2015年5月22日

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