京都四条 月岡サヨの小鍋茶屋

著者 :
  • 講談社 (2020年11月18日発売)
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本棚登録 : 215
感想 : 25
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鴨川食堂同様、京都のイメージがっつりと、そして美味しそう(o^^o)
現代の噺家さんが、古書店で古い料理本を手に取るところから始まります。
お昼はおにぎり屋さん、夜は完全予約制の1組限りの貸し切りの料理屋さん。手軽な方にもコース料理にも対応できるサヨの料理の腕前は素晴らしい。
時代が幕末の走りなので、バターとか豚肉とか、江戸人情グルメ系では出ることのあまりない食材も出てきます。さらに名前は伏せるけど、誰だかわかる幕末の偉人が次々と来店するのがワクワクする!
おにぎりの具材とか、鍋の味付けとか、真似できそうなネタも出つつ、やっぱり京都だなと感じる鱧とか山椒の花とか品のある感じです。
神様に愛された料理人という設定なので、どんどん登り詰めて女性料理人の中でも抜きんでた出世をするような感じかと思いましたがそうではなく、本人が無自覚のうちに、料理を通してお客様の決断を促す大事な言葉を投げ掛けてます。こういうところに神懸り的な要素があるのかな。。
偉人さんは出てきますが、招かれた客としてのみで、サヨが巻き込まれてしまうことはなく、あくまで料理人として次々に美味しい料理を出す役割に徹底してるので、通してグルメ小説として読み切れます。
ほっこりとは違いますが、じわっと染みるような料理の描写が食欲を促進する美味しい小説です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月10日
読了日 : 2021年9月4日
本棚登録日 : 2021年9月4日

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