私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! (7) (ガンガンコミックスONLINE)

著者 :
  • スクウェア・エニックス (2014年10月22日発売)
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感想 : 15
5

友達の友達は夏の都市伝説でないの、友達と一緒ならホントなの。

『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(略称:わたモテ)』、高校二度目の夏休みでお送りする七巻です。

主人公「黒木智子(もこっち)」にとっては親友「成瀬優(ゆうちゃん)」を挟んだライバル(?)「小宮山さん」と三人での海水浴をハイライトに、青春の陰ばかりではなく光も見えてきた巻です。
小宮山さんとは六巻で鞘当てもありましたが、なんのかんので上手くやってたのが意外でもあり、納得でしたね。

それと表紙で一目瞭然ですが、今回も出ました。
長期休暇のお馴染みとなった年下の従姉妹「きーちゃん」回もこれで三度目、相変わらず取り返しのつかないところに落ち着きつつ、読者を震撼させてきます。

とは言え、ふたりの関係性は相変わらずヤバいんだけど、きーちゃんはどことなくおねえちゃんのことを見直してくれた気がします。
つまり、アブノーマルだけど微妙に冗談になる範囲に落ち着いてきたというか。
未読の方は次の登場に期待しといてください。

で、友達と従姉妹と過ごす夏のイベントの消化の裏で怠惰にあえて「なにもしない」日が恐怖でなく余裕をもって楽しめている。

あと二学期前の憂鬱をわけのわからんホラーな手で乗り切ったりと、読者に無用なダメージを与えない工夫も冴え、ギャグ漫画としての精度が上がっている気がします。
夏だけに怪談ネタも結構多かったですね、そういや。

ところで作中の舞台兼両作者の居住地が「千葉」でキャラの名字が野球チームの「千葉ロッテマリーンズ」の有名選手から取っているというのは有名な話ですね。

それなのに無理に参加させられた野球応援回で毒づくもこっちに共感でき過ぎてヤバいです。
続刊でのキーパーソンになる「加藤さん」が電話越しであれ初登場したり、ろくでもないことを考えたり毒づいてたら揺り返しがあったりできちんとバランスを取っていたりで、見どころはあるんですけどね。

とりあえず何気に不意のボールに怖がるもこっちは可愛いと思います。
あと、主人公の弟「黒木智貴」はサッカー部なのでそちらの接点の方が多いと思いきや、野球(部)には微妙にニアミスする機会があったりしている気がします。
この伏線が三年生編に活かされることも期待してもいいかもしれません。

そんなわけで作者含め野球部への憎しみを隠さない一方、野球への愛着も見せているのが、もうわかりませんね。

で、野球愛成分をロッテファンということで一手に背負う小宮山さん、水着も結構クールに着こなしてて眼鏡ありでもなしでもかなりレベルが高いと思います。
夏服だと腰の位置の高さがよくわかりますものね。

そして、海水浴に至るまでも。
正面からぶつかり合うもこっちと小宮山さんの仲の良さ(?)に不安がっているゆうちゃんといい、この三人実は考えていることがわかりやすいというか。

ここで三人は同じ目線で同列線上に並び、同じものを見て一緒に思い出を作れたんだなってしみじみ思います。
ふたりの目からするとゆうちゃんが先んじているようでいて、ゆうちゃん目線だと一人きりにされていると感じていたのは、納得しかない。

どの巻を取ってもそうと言えばそうと言えるのかもしれません。けれど。
やっと、友達と自然体で接する長い時間が作れた、既刊十五巻の中でも重要な巻だったと思います。

さて。次の八巻は新キャラが多数登場。
わたモテが次のステージに移行したマイルストーンというべき大イベント「修学旅行編」です。

ところで、ここまで未読と再読、両方の視点に立って七巻までのレビューを書いてこれたと自負する私です。
『わたモテ』を七巻まで読んできて良かったと断言できる、そんな一連の流れをレビューで紹介できたとも思います。

無論、私以外の読者に読み方は強制できませんが。
八巻。あれはあそこから読み始めても問題ないと太鼓判を押せる特別な巻であることは否めない一冊ですから。

けれど。
ひとりからふたりへ、ふたりからさんにんへ。
四人以上の人間関係を描き、楽しむのに、きっと長い時間は必要だったのかもしれないと、そう感じたこと、それだけは確かです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Gag
感想投稿日 : 2019年6月20日
読了日 : 2014年12月23日
本棚登録日 : 2014年12月23日

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