『オウバアキル』や『カナシヤル』など、刊行済の複数の詩集から構成された現代詩文庫版。
一貫して陰鬱で自傷気味、心に闇を抱えたような病んだ印象は拭えない。男とのやり切れない関係や、とても良好とは言えない母との距離感に独りもがく自分。死はいつでも隣り合わせ。繊細な心の内に秘めた鋭利な刃の向かう先は他人か、はたまた自分か。読んでいる先から、深く深く自分の殻に閉じこもっていく感覚。
内から湧き出す空虚、喪失、自棄を「詩」というかたちで表現していなかったら、彼女は一体それらを自分のどこに抱えておくつもりだったのだろう。
読むと心が軽くなったり背筋が伸びるような力強い詩と触れ合ってきた私としては、異質な世界だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2015年3月17日
- 読了日 : 2015年3月16日
- 本棚登録日 : 2015年3月17日
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