あまりにも抽象的で難しい一冊。哲学と呼ぶと哲学者に怒られるかもしれない。しかし要所要所に伏線があり、注意して読んでいくと、7割くらいはわかる。衝撃のラストと呼ぶにはあまりにも難解で、あまりにも美しい。
シンスライフの問題をハルシュタイル侯爵が解いている最中が、最も盛り上がったところだろう。多くの勢力がそれぞれ、自分の目的を果たすために集まった。ヘルカネスが指揮ったとしか言えない混乱は一件の価値がある。
永遠の命というのは人類普遍のテーマであり、それはこの世界でも変わらない。しかし、それが不変性を持つと言うのが問題だ。前作では人間の変化というものがテーマになっていた。人間はあらゆるものを変えることができる。その権能によりドラゴンすら人間化してしまった。今作は逆に、人間の不変を望む心理をシンスライフにより時間が止められるという形で描いた。滅亡は完成の帰結であり、滅亡なき完成はない。永遠の生命とは未完成の代物である。
しかし、フチが出ないというのが最大の問題だ。彼の魔法の秋は終わってしまったから、以降歴史の舞台に出ることはないのは理解できるが、彼が無知なお陰でこの世界を理解できていた。フューチャーウォーカー世界は面白いことは間違いないが難解にもほどがある。おかげさまで続編の翻訳が出ませーーん!!
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- 感想投稿日 : 2021年11月30日
- 読了日 : 2021年11月30日
- 本棚登録日 : 2021年11月30日
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