テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ (星海社新書)

著者 :
  • 星海社 (2014年9月26日発売)
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本棚登録 : 165
感想 : 9
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やっぱり社会学的切り口と、評論というのは、苦手です。

音楽で例えるならば、『ビートルズ』は偉大で、いまある音楽の基本を作ってきたし、いまの革新的な音楽だって、元をたどればビートルズにかえってくる、という円環のなかで論じられることが多いことと、
手塚治虫は偉大であるということの円環は相似形をなす。
で、手塚治虫は本当に偉大なの?
映画的手法をふんだんに取り入れたとか言われてるけど、じつはそれって戦前からあるし、革新的といわれても、その根拠はなんなのかが示されていないよね、という疑問から、
そもそも漫画が面白くなくなったとかざっくりいわれているけれど、なにをもってそんなことが言われ始めたのか?
をたどっていくような、内容。

モダンというものは、作り上げたひとが自らのその規範を壊してしまいたくなる。自分は革新的なものをつくりたくてやってるのに、定番化されるとつらい。その内面外面両側からの戦いをいろんな角度から眺めてみた、漫画におけるポストモダン模索論だとおもいます。

難しかったです。
あと、新書なのに文章がギチギチで、端っこの文章が読みにくい。

ぼのぼの というなんにも起きない漫画をしつこく取り上げて論じているのとか、途中で飽きてしまいそうになりましたが、総じて面白くてアツイ漫画論が読めました。夏目氏の書籍もきになる。
あと、動物化するポストモダンは必読かと。難しすぎてもうお腹いっぱいですけどね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 書籍
感想投稿日 : 2016年10月18日
読了日 : 2016年10月18日
本棚登録日 : 2016年10月18日

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