不穏の書、断章

  • 思潮社 (2000年10月1日発売)
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感想 : 22
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 幾つもの名前を持つフェルナンド・ペソア。ペソアは、ペソアであるが、ベルナルド・ソアレスでもあり、実は私でもあり、あなたでもあり、ペソアも私も知らないどこかの誰かでもある。
 この書物は、散策の中で書き継がれた、詩であり、散文であり、哲学書でもある。だから、断章という形をとるしかなかった。

 その中からの引用
 「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」

 「自然であるためには、ときどき不幸である必要がある」

 「私はもはや自分のものではない。私は打ち捨てられた博物館に保存された私の断片なのだ」
 
 ペソアの言葉は反芻を促す。
 イタリア出身の作家アントニオ・タブッキは、ペソアの詩に魅せられ、ポルトガル語を学び、ポルトガルのリスボンで生涯を閉じる。 
 山田太一はこの『不穏の書』を枕元に置いているという(『月日の残像』。
 加藤典洋も地味な読者であり、その痕跡を求めてリスボンまで行ったという(『考える人』(季刊誌No50)。
 私もまた、これから繰り返し読み続けることになりそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 詩集
感想投稿日 : 2014年11月17日
読了日 : 2014年11月13日
本棚登録日 : 2014年11月17日

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