シニアビジネス: 「多様性市場」で成功する10の鉄則

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  • ダイヤモンド社 (2004年5月1日発売)
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団塊世代が定年を迎え、この年齢層をターゲットとするビジネスが増えつつあるが、シニア層の嗜好の多様化により顧客のニーズを上手く捉えていない例が多い。 本書は日米でシニアビジネスに携わった著者が提起するシニアビジネスへのアプローチ方法。

著者は、シニアビジネス成功の要諦を「多様性市場への適応力」と結論付けている。 団塊世代やシニア層がひとくくりとなる市場は存在せず、シニア層を取り巻く外的環境の変化を原因とした"多様なミクロ市場"が形成されているという。 その潜在的なニーズを捉えるには、まずは米国のシニアビジネスモデルを見てみると良いという。 国民の高年齢化、生活水準の向上、生活習慣病の万円、労働スタイルの多様化、など、今の日本は良しにつけ悪しきにつけ米国に似た社会環境を形成しつつある。 その中で、シニアビジネスの成功例も、失敗例もある米国はまさしく日本におけるシニアビジネスの良い手本となるとのこと。

・不安・不満・不便を見出して解消するサービスの構築、
・シニアのニーズを発掘し商品に展開
・シニア層は機能重視よりも、若者と同様スタイル重視へと変遷しつつあることへの認識
・商品の提供場所が店頭から在宅へと移動
・退職者が気軽に集まることができる第三の場所を提供し、事業機会を作る。
・退職者が自分の身の丈に応じた稼ぎを得るための個人事業「ナノコーポ」の支援

などなど。

本書はシニア層の捕らえ方を分析し成功要因を取りまとめているが、実はそれ以外のビジネスへも大きな示唆を与えてくれている。 それは、兎角フレームワークによる現状分析のみに終始するマーケティング本が多い中で、本書は市場(シニア層)の動きを動的に捉えて先回り戦略を発想することを基盤として論理展開しているからだと思う。 高齢化、医療費負担の増大、年金財政の破綻など、これらの外部要因によりシニア市場の将来像は比較的仮説が立てやすく、またこの領域では先駆者である米国のビジネスモデルの分析も出来ることから、シニアビジネスはマーケティング&ビジネスモデルの良い練習対象になるのではないかと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年9月23日
読了日 : 2009年9月23日
本棚登録日 : 2009年9月23日

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