誰もがなんとなく感じていたことを「スクールカースト」という概念で明らかにした、ということなのだろうが・・・。「スクールカースト」という言葉が流行っているからと言って、それが分析のキーワードとして妥当がどうかは別問題。むしろこの言葉によって、現実が見えなくなっている、あるいは現実以上に現実をグロテスクにとらえる方向に進んで行きかねない。教室に限らず、皆に声をかけることができる人やグループがおり、彼らがどういう人達かで、多くの人が居心地のよい集団になるか、居心地の悪い集団となるか、あるいは一部の人を犠牲にする集団になるかが決まる。素朴にこうとらえた方が問題の解決策を考えやすいのではないか。
終章に、生徒に向けた著者のアドバイスがあったが、この本をスクールカーストに苦しむ生徒が読むことを想定しているようだ。だとするならば、その前の章の、教員(特に「小林先生」)の話を読んだ生徒はやりきれないだろうな、と思った。配慮が必要だろう。また、これは本人も、解説者の本田も繰り返し弁解しているが、ここに紹介された教員をもって、教員の認識を代表させるのは乱暴で雑すぎる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2013年10月11日
- 読了日 : 2013年10月11日
- 本棚登録日 : 2013年10月11日
みんなの感想をみる