図解雑学 中国

  • ナツメ社 (2004年10月1日発売)
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▼「アジア政治社会論ⅠB」の補助テキストとして通読。ナツメ社による図解雑学シリーズにそぐわず分厚い外観には一瞬戸惑いを覚えたが、その分内容は概説書として十分なものであったと思う。現代の中国を知るという上では、本書第5章の「歴史」や第6章「文化」などは割愛して読み進めても良いだろう(が、「考える」というのならば、じっくりと通読する方がより真摯である)。
▼初版が2004年ということで、G2やそれに伴う人民元の切り上げはおろか北京オリンピックさえ「未来」の話となっているが、その点を差し引いてもなお、気軽に手に取れる概説書としては優良である(もちろん、改訂版は待ち遠しいところだが)。
▼共産党の一党独裁がいつ終わるのか。そのような議論は長らく続けられてきた。確かに、体制の維持[regime security]だけを考えるとすれば内発的要因によって「崩壊する」可能性はあるのかもしれない。だが、それが国家の安定[national security]に適っているとすれば、そう簡単にその動きは起こらないであろう(つまり、ある程度の経済成長が続く限り、その疑似・政権交代さえ継続すればある程度の不満は解消され続けることになろう)。
▼自由主義市場経済よりも、社会資本主義ないし修正資本主義の方がはるかに社会的安定をもたらし得る――もしかすると、そんな「皮肉な」結末が今後の中国で証明されていくのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界の国々
感想投稿日 : 2011年10月2日
読了日 : 2011年10月2日
本棚登録日 : 2011年10月2日

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