現在にいたるまで日韓・日朝問題の足かせとなっているタブー「日韓併合」。言ってみれば腫れ物のようなデリケートな問題で、議論するのもはばかられる雰囲気があるが、呉善花氏は、韓国人として、この問題に正面から取り組んでいく。
19世紀の過酷な東アジア情勢にあって、当時の清国や朝鮮はあまりに弱体で、その中で欧米と渡り合うこととなった日本の苦悩を正面から理解した上で、当時の李氏朝鮮の問題点を指摘していく。また、ただ日本を「悪者」視することの不当さ、愚かさも読み取ることができる。
ただ、一見してこれらの主張は日本人の耳に甘く響くかもしれないが、そこは一歩ひいて謙虚であるべきだ。
これから日本と東アジア諸国が隣同士でやっていくためには、あくまで表面的な「善悪」とにとらわれず、20世紀初頭になぜ日韓併合という「荒療治」が断行されなければならなかったのか、あくまで実証的に考えていくことが日韓両国民に必要である。本書はそのための確かな助けとなるだろう。
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- 感想投稿日 : 2012年7月21日
- 本棚登録日 : 2012年7月21日
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