子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く (できるビジネス)

  • インプレス (2015年10月9日発売)
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数年前から子供にプログラミングを学ばせる機運が高まっていたようですが、当時は親がIT技術者であるとか、子供を優れたIT技術者に育てたいとか、そういう意識のもとであったようです。最近は、ピアノや習字など、習い事の一環としてプログラミング教室に通う子が増えているようです。全国にプログラミング教室が増えているようですが、本書ではそのうち、サイバーエージェント系のCA Tech KIds、アイルランドで始まったムーブメントであるCoderDOJO、さいたま市の「寺子屋」から発展し全国区になったTENTOなどが紹介されています。このうち、CoderDOJOはボランティアで運営されており、子どもは無料でプログラミングを学ぶことができます。
 プログラミングの普及に一役買っているのは、「ビジュアルプログラミング」と「タブレット端末」だと思います。「ビジュアルプログラミング」とは、コードを直接記述せずに、ブロック化された命令をドラッグアンドドロップで並べていくことで、命令を伝えていくことができる方法です。世界的にはMITメディアラボが開発した「スクラッチ2.0」が有名で、登録ユーザ数は720名を超えています。さらに、未就学児から小学校低学年を対象とし、タブレットで動かすことを前提とした「スクラッチジュニア」もともに無料で提供されています。
 日本発のプログラミング言語「Ruby」をビジュアルプログラミング化した「スモウルビー」も無料で提供されています。こちらは、ブロッグでつないだプロブラムの内容をRubyのソースコードで確認できることです。
 自分の過去の経験からしても、自分の「思い」をコンピュータに伝えると、それに応じた挙動が帰ってくるという興奮は、モノづくりの原点に近いものがあり、子どもたちもきっとこの興奮にとりつかれているのだと思います。
 そして、おそらくそういう論調になると予想していましたが、日本のプログラミング教育は世界でも遅れています。若干の試みは行われているものの、小学校からプログラミングを教えるということは、なかなかハードルが高いように思います。それもそのはずで、いまの小学校の教員はほぼプログラミングの教育を受けていることはほぼなく、プログラミング教育の義務化はダンスの必修化以上に負担をかけてしまいそうにも思います。とはいえ、プログラミング教育の重要性を直接訴えかけるオバマ大統領の姿勢を鑑みると、日本の取組みはまだ若干の白けムードが漂っているようにも感じます。だからこそ、冒頭のような民間のスクールで機運を高めていくという取り組みを応援したいと思います。
 子どもたちは本当にモノづくりが大好きで、必要な材料を与えておくと、こちらが予想だにしないものを仕上げていきます。大人になって、つまらない思考に縛られてしまう前に、可能性を広げる取り組みにかからせてあげたいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年8月13日
読了日 : 2016年8月13日
本棚登録日 : 2016年8月13日

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