エリカ&パトリックのシリーズ10作目、後半。
30年前の事件で容疑者だった十代の少女。
その年頃ならではの一途な友情関係にあったのだが、今は40代となって、別人のようになっていました。
30年前という時代の限界で、明かせない問題というのもあったとは。
地元に住み続けているヘレンの息子のサムと、女優マリーの娘イェシーは、ふとしたことから親しくなります。
問題のある家族関係も、えぐるような描写力で、ぐいぐい描かれていきます。
そして、300年前の出来事は。
異母妹が嫁いだ教区牧師館で女中のように働かされていたエーリンは、魔女裁判にかけられてしまいます。
この成り行きもリアルなため、やはり避けられないのか…と、ため息が出るよう。
パトリックが勤める警察の署長はうっかり人種偏見をあらわにしたために、移民である恋人母娘の逆鱗に触れて追い出されます。
そりゃあね自業自得、まったく、どうしようもないね!というキャラなのですが。
事件の深刻さや、その中で浮かび上がる底知れない闇に比べれば、まあまだ…許されるギリギリ?
主役カップルはというと、パトリックのいささかうるさい母親の再婚が決まって、その準備に忙しい。
エリカの妹アンナはこれまで一度ならず悲惨な経験をしてきたが、ここへ来てパートナーのダーンとの仲も安定し、一緒に式を挙げることに。
こういったところがシリーズ最終作らしく、いいまとまりになっています。
登場人物が多く、社会階層の(今回は年代までも重層的に増やして)あらゆる面に触れながら、大きな渦で巻きこむように怒涛の展開へ。
一段と迫力があり、圧巻でした。
- 感想投稿日 : 2022年4月27日
- 読了日 : 2020年6月3日
- 本棚登録日 : 2022年4月27日
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