パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー: 魅惑の南仏殺人ツアー (ハヤカワ・ミステリ 1960)

  • 早川書房 (2020年10月1日発売)
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感想 : 27
5

「パリ警視庁迷宮捜査班」シリーズ2作目。
カぺスタン警視率いる、はみ出し者ばかりの特別班が活躍します。

アンヌ・カぺスタンは、優秀な刑事だがある事件の過剰防衛で休職、復帰後に新たな特別班を任されました。
迷宮入りした過去の事件を再捜査するのが専門ですが、今回は起きたばかりの事件の捜査にも加わることに。
なぜなら、被害者がカぺスタンの元夫の父親だったから。

元夫ポールは人気に陰りが見えているコメディアン、その父親というのは警視でした。
とはいえ、他の部署が資料をほぼ独占、特別班にはわずかな情報しか回ってきません。
カぺスタンは元夫に会うのも嫌だったのですが…
この気持ちが当初は暗く描かれているため、サイテーなやつで全然希望はないのかと思いきや、そうでもない?

部下たちの中でもしっかり者のㇽブルトンはゲイとカミングアウトしたら左遷され、ロジエールは警察の内情を暴露した内容の小説がヒットしたので睨まれた女流作家、若いエヴラールはギャンブル依存症の女性だが捜査はかなり地道。
パソコンに詳しいダクスが変わり者というのは他でもあるような設定だけど、やはり程度が違う。
スピード狂のレヴィッツ、危な過ぎ。
ペットの犬やネズミまで活躍する楽しさ!
そ、そして今回は~自ら銃士と名乗るアンリ・サン=ロウ警部が登場。
はい、「三銃士」なら大好きなので、わかりますが~
えっ、17世紀から生きているつもりなんですか?
それでよく警部でいられる…(笑)
これはもうドタバタに徹するのかしら?
と思うと、そうでもない。
舞台劇のような味わいと言いましょうか。

色々な要素を含み、事件には重さもあるがその描写に力点をおかず、創作なんだからこれぐらいぶっ飛んで面白くしなきゃ、でしょ?という余裕綽々なムード。
それぞれが爪弾きにされた理由をお互いに気にすることなく受け入れる空気を作りだしたカぺスタンの度量。
良さを引き出されたメンバーが、いざという時にけっこう一丸となるのです。
ゆっくり深呼吸したくなるような空気を醸し出して、おまけに死神とあだ名されるトレズの意外な出番まであり、笑顔で読み終われる。
今回も、面白かったです☆

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ(ヒロイン)
感想投稿日 : 2022年4月13日
読了日 : 2021年2月14日
本棚登録日 : 2022年4月13日

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