鐘の音は恋のはじまり (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

  • 二見書房 (2011年11月21日発売)
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感想 : 12
4

半人前の魔女と堅物の公爵のロマンス。
魔法をつぎつぎに失敗するのがコメディ映画的。
にぎやかな出来事が続くうちに、公爵の心を溶かしていきます。

ジョイは21歳。スコットランドでおばのマリーと暮らしていました。
マリーは有能な魔女だが、ジョイのほうは魔法が苦手で失敗続き。
おばが留守になる間、祖母の家にひとっ飛びのはずが失敗、飛び込んだのはベルモア公爵アレクの腕の中。
豊かな栗色の髪、緑の目に純真な表情をたたえたジョイ。
背が高くて自信に満ちた銀色の髪のハンサムな公爵に抱き上げられて、ジョイは一目ぼれ。
アレクの冷たい瞳の中に潜む絶望に、ジョイの何かを求めるものを感じ取ります。
アレクのほうは婚約者に振られたばかりで、体面をたもつために、ジョイと結婚することに決めるのです。
遊び仲間のダウン伯爵とシーモー子爵も何かとかかわってきます。

先祖代々の広大なお屋敷ベルモア・パークに驚くジョイ。
魔女であることを告げられたアレクの驚愕は、それどころではありません。
魔法を使うことを禁じますが、つい使ってしまうジョイ。
皇太子のパーティに夫婦で招かれ、参加するまでの間にレディ教育が始まります。

威厳のあった亡き両親を見習って、伝統と格式を重んじて生きてきたアレク。
愛は愚か者が求めるものと考え、ジョイに惹かれながら、なかなかそれを認めない。
実は、父の厳しいしつけは虐待に近いものだったのですが。
家を出されていた弟スティーヴンに対面したとき、父の欺瞞に気づきます。何も知らないスティーヴンにやさしく接するジョイ。

波乱続きの展開ですが~泣いたり笑ったりする世間知らずな魔女の明るさで、楽しく読めます。
ときは1813年。
摂政皇太子、ボー・ブランメル、ウェリントン公爵など、実在人物もチラッと登場。
使い魔のビーズル(オコジョ)が、いつも寝ているか従僕長ヘンソンの髪を噛んでいるかで、まったく役に立たないというおとぼけも。

作者は南カリフォルニア生まれ。大学で歴史学を学ぶ。
初めて仕事に就いたのはディズニーランド。
1990年のデビュー以来、ベストセラーリストにたびたび登場している。
これは1993年の作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ロマンス
感想投稿日 : 2012年12月15日
読了日 : 2012年12月12日
本棚登録日 : 2012年12月14日

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