高校生になった千夏には友だちには言えないことがあった。
…というよりも中学のときには友人と呼べる仲の良い子はいなかった。
自分の家には、父親はおらず母親には3人の恋人がいてその彼らと一緒に住んでいる。
美容オタクでバイセクシャルの亜夫、イタリアンシェフの到、そして最近一緒に住むようになった大学院生の氷雨。
千夏は彼らと仲も良いのだが、一緒に暮らす彼らのことは誰にも言えずにいた。
千夏に彼ができたのだが、次第にその彼の束縛と強制に息苦しさを感じていた。
その頃、千夏の母・伊麻の高校時代の友人・絹香は夫との関係にうんざりしていて、伊麻の気取りのない自然な考え方や恋愛に同じ娘を持つものとして、驚きを感じながらも否定する気持ちはなかった。
「会いたい人に会わないで、なんのための人生」
そう…これなのかもしれない。
無理して、気持ちに嘘をついて生きるよりも正直に生きるのが良い。
伊麻の家庭をなんと呼ぶのか?よりも形に捉われずにみんなが良いと思えるのならそれが一番だと思った。
激しいとか、重いとか、の感情はないけれど心を仄かに揺さぶられたような気がした。
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- 感想投稿日 : 2024年4月18日
- 読了日 : 2024年4月18日
- 本棚登録日 : 2024年4月18日
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