まりかセヴン(2) (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社 (2012年7月28日発売)
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本棚登録 : 73
感想 : 7
5

 アニメ・マンガのパクリが話題になったのか、ネットの記事で、オマージュ、パロディ、パクリの違いが解説されていた。『まりかセヴン』、これは巨大ヒーローもののパロディである。パロディは批判、風刺、揶揄の目的で作成される、などと定義されていたりするが、多くのパロディにはオマージュが含まれている。
 各話のタイトルは特撮もの、小説、マンガなどのタイトルのパロディになっており、先行作品にオマージュを捧げた場面などもある。ま、すべてがわかるほど博識ではないが。

 巨大ヒロインになってしまったまりかが、その大雑把な性格から現状を受け入れてしまうのも、高校生なんてこんなもんだろうという妙な説得力がある。おとーさんおかーさんは心配するだろうが、まりかの家庭は描かれない。
 科学特捜隊に相当するのは、当然自衛隊である。ヘンタイのセンパイが「まりかセヴン」などという名前を2ちゃんねるに(あ、2ちゃんねるとは書いてなかった)流したため、自衛隊情報部がまりかを特定し接触してくる。先頭に立つのは、元グラビア・アイドルの鈴森少佐。東ヤ-20a星雲からやってきたセヴンは自衛隊と共闘した方が得策とみて、交渉し、以後、怪獣が出現すると、自衛隊のシークレットサーヴィス(か何か)が、まりか本人と、情報管制のため、まりかセヴンの正体を知ってしまったセンパイと親友のサエちゃんをピックアップして現場に赴くようになった。
 元グラビア・アイドルの自衛官というのは嘘で、実は、かつて鈴森少佐は自衛隊の地域活動の一環として水着姿を雑誌に載せた黒歴史があるという設定なのも、「あるある」という感じ。

 巨大ヒーローものはただ強くて怪獣をやっつけてばかりだとお話にならないので、さまざまな困難が生ずるのがお約束。3分しか戦えないなんてのもそのひとつだが、まりかセヴンは活動時間の制限はないようだ。そのかわり、鈴森少佐に「つかえねえ」と毒づかせるトホホな障害が生ずる。
 まりかは、怪獣が虫とか蛸に似ていると気持ち悪くて戦いたくない。怪獣がかわいすぎて戦えない場合もある。そこで、まりかとセヴンが言い合いになったりするとまりかセヴンの「操縦」がおろそかになって、怪獣に頭かじられていたりするのである。戦いたくないまりかを上手におだててその気にさせてくれるのが、ミリオタ、特撮オタクのセンパイである。でも戦う気になっても、海の怪獣相手に泳げなかったり、怪獣の弱点を突くのにどんくさくて回り込めなかったり。
 確かに風刺、揶揄ととれなくはないのだが、同時に先行作品へのオマージュになっている。巨大ヒーローものは、ヒーローに踏みつぶされた人はどうなるのだとか、怪獣を保護しなくていいのかとか、さまざまなひねりが加えられてきたが、女子高校生が巨大化して戦うという点ですでにひねっているので、ある意味、話が素直なのも清々しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 怪獣もの
感想投稿日 : 2016年2月8日
読了日 : 2016年2月8日
本棚登録日 : 2016年2月8日

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