氷上の光と影 知られざるフィギュアスケート

著者 :
  • 新潮社 (2007年2月24日発売)
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本棚登録 : 77
感想 : 14
5

丁寧な取材の上に成り立っていることがよく分かる本です。
どの選手にも、というどころかどのコーチにもどのコリオグラファーにも、そしてどのジャッジにも、表で光を一心にあびている人、裏方で目立つことはなくてもその光を輝かせるために一生懸命な人、すべてに等しく愛情と敬意と持っている人なんだなと思いました。読んでてとても温かい気持ちになれます。
そうですよね!ヘンな若い子市場主義なのばっかりが表で騒ぐせいですっかり気持ちはささくれ立ってしまってますけど、関係者の大半はこういう気持ちで見てるんですよね!
ソルトレイクでの村主さんの演技前に入った某氏の素っ頓狂なかけ声の下りなどは怒りが込み上げましたが…文面は、そういう試合時の騒々しさなど気にならないくらいの集中力が必要だ、というまとめになるので某氏への批判とかそういう話では全くないのですが、まあそれはそれとして、やっぱり観客は選手への敬意がいると思いますよ。なんか、作者の意図に反して沸々と憎しみが沸いてきて困ります…(笑)
それにしても、冒頭からスルツカヤの話ですっかり泣けてしまいました。ソルトレイクでの、自分が銀メダルだと分かったときのあの泣いて怒っているシーンは忘れられませんよ…
いろんな胡散臭い事件がいっぱいある競技で、ヘンなごね得狙いみたいなのもあるし、第一採点競技はどのスポーツにしても怪しいところはてんこ盛りにあるし、そうやって裏を見出すと心底ウンザリしてきたりもするんだけど、でもやっぱり選手がリンクにサッと出てくるとそれだけでうれしくなるんですよねえ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2010年4月25日
読了日 : 2007年8月9日
本棚登録日 : 2007年8月9日

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