著者あとがきに、ルルーのオペラ座の怪人は、エリックの最後の6ヶ月しか描かれていない、と。
「オペラ座の怪人」だけでは、エリックの複雑な感情と、クリスティーヌの難解な気持ちは、全くと言っていいほど読み解くことは出来ず。それを元とした、ロイド・ウェイバーのミュージカルも、まだクリスティーヌのファントムとラウルの間(というか、一方の元においては一方のみしか見ていないから、厳密には間ではないけど)を揺れ動く気持ちが、分からなかったのだけど。
ここまでで、エリックの生い立ち・人生を知り、未だ”音楽の天使”としてクリスティーヌと相対していた時の2人それぞれの思いとかをみて。
それでも、クリスティーヌのエリックに対する気持ちは、難しかったけど。
でも、恐れでも哀れみでも、恋愛でもなく。ただ本当の愛と言うか。クリスティーヌにとってエリックは、師であり父親であり保護者であり、恋人(!)であり。子供でもあった。
というか、多分、いろいろ言葉とか感情では言い切れない。多分、マドレーヌだったんだと思う。母親として息子を愛してやれなかったかわりに、かわりと言ったらあんまりだけど、だからそれ以上の愛をあげたかった思いが引き継がれていた部分てあるのかなぁと。
エリックにとってのクリスティーヌは、恋人でしかなかったとは思うのだけど、母親と同じように手に入らないものとか触れてはいけないものと思いながら、母親ほどには神聖視してなかったとは思う。けれども・・・
でも、最後に、きっとクリスティーヌの思いも、母親の本当の思いもわかったというか。母の死の3日後にボッシュウィルに戻ったときに、多分、本当の思いを知ったんだろうけど、認められなかった思いを受け入れたんじゃあないかなと、思った。
まぁ、ラウルがいちばん貧乏くじ引いたっちゃ引いたというんだろうけど、エリックが姿を消してから、本当に何かを理解した。というかね。やー。後のラウルはイイオトコだと思うよ。
- 感想投稿日 : 2012年7月13日
- 読了日 : 2012年8月14日
- 本棚登録日 : 2012年7月11日
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