■書名
書名:実践ガイド なんとか会社を変えてやろう―企業風土改革の進め方
著者:柴田 昌治
■概要
成功や失敗の現場体験を基に,企業風土を改革するための実践的考え
方やアプローチのしかたを具体的に解説
99年に出版され,ベストセラーになった『なぜ,会社は変われないのか』
(日本経済新聞社)の第2弾。いまの日本社会に共通して見られる病理は,
「表立っては何も言わず,影で非難しあう」組織であり,「臭いものにフ
タ」をし,根底にある問題に目を向けようとしない体質だ。こうした状
態を放置すれば,近い将来,破局が訪れると指摘する。
「会社を変える」には,企業風土や組織体質などソフトの改革が必要だ。
改革のキーは,問題を見えやすくする,つまり,「おかしいと思うことを
おかしいと言えるようにすること」である。その第一歩として,「気楽
にまじめな話をする場」をつくることを薦める。
具体的には,意欲のある人を10~15人ほど集め,オフサイト・ミーティング
を行う方法だ。その際,互いの信頼関係を築けるよう,「聞き合う」こと
を主眼とすべきだという。また,改革を進める世話人の育成方法などに
ついても触れている。実際にコンサルティングした現場体験に基づいて
解説しているだけに,具体的で説得力がある。
(From amazon)
■感想
概要に書いてることが、ほぼ全ての本です。
『なぜ,会社は変われないのか』を読んだ後、続けて読みました。
基本的には言っている事は、同じです。
企業改革について、こういう順番で、こういう方法でやっていくべき
というのが細かく記載されています。
どの会社でも、全員が理想通りになるわけがないという前提で、やり
方を書いてあり、また、実績に伴って色々と記載されているので、
説得力はあります。
また、基本的に若い人(現場にいる人)ほど、この内容に敏感に反応
すると思います。
(本当に反応するべきは、上のバカな連中なのですが・・・)
上が本当にどうしようもない人間揃いであれば、あきらめるしかあり
ませんが、そうでなければ、少しずつ行動していくの価値はあると
思います。
まあ、後は、どこまで会社に尽くすかだと思いますが・・・
現場の人間って、問題は把握していますが、会社への帰属性が低い
ですからね・・・
面白い一冊ですが、現場の作業者が読んでも結局どうすればいいんだ!?
とな気がします。
実は、ある程度の権力がある人間向けの本です。
そして一番の問題は、こういう人間にこういう本を読む人間が少ない
ことでしょう・・・
■気になった点
・企業改革の中心課題とは「見えにくくなっている問題を見えやす
くする」事が出発点だろうと思っています。
・企業改革をするには、まずは、風土、体質、文化(言っても無駄、
言いだしっぺが損をする)という部分を改革していく必要がある。
・問題のある組織の体質は、以下のようになる。
1)なるべく波風は立てない
※みんなで頑張っているのだから、余計な事は言わない
⇒2)問題を先送りにする(臭いものにはフタをする)
⇒3)信頼しない、お互い隠しあう
※言っても無駄、正直者、言いだしっぺはバカを見る
⇒4)表立って何も言わない。
※陰で批判しあう
⇒5)結果として牽制と足の引っ張りあい
⇒1)に戻る
・多くの関係者が善意で一生懸命やっているにもかかわらず、協力
出来ない理由は「問題の共有が出来ていない(問題が見えていない)」
からです。
これを見つけるには、おかしいことは、素直におかしいと感じる事
が出発点です。
・もぐら叩きの解決では無い、根本的な解決が必要となる。
・「あなたが頑張っている中にこそ、問題がいっぱい隠されている
のではないでしょうか」という問いが自然に行われる必要がある。
・リ・コミュニケーションの基本的なスタイル
- 形式ばらず気楽な雰囲気を作る
- 結論を出すことをノルマにしない(結論が出ても問題はない)
- 人の話をまずは「聞く」という姿勢
- 立場を離れる
- 相手にレッテルを貼らない
- 正しいことを言いすぎない
- 相手をやっけすぎない
- 自分の弱みを素直に見せる
・日ごろから部署に関係なく、必要と思った人同士が密に話し合う
場が形成されていることが重要です。
・「話し合い」というのは結局「上からの命令」でしかない。
なぜならば、既に上が答えを持っていて、それに向かって説明する
だけの場合が圧倒的に多いからです。
・大事なのは「話し合い」ではなく、「聞き合い」です。
・聞きあうことによって一時的に「何とかしないとモード」になって
もそれは一時的でしかありません。これを継続的に耕すために、
世話人が必要となります。
・世話人の資質は以下の通りです。
- 課題達成至上主義で無い
- 変革への思い入れが人一倍強い
※会社の指示ではなく、自分の思いで動く
活動を評価と結びつけない
- 制約条件を絶対視しない柔軟性
- フットワークのよさ
- 人と人の橋渡しをする力
- 起承転結の組み合わせ
・問題提起
・シナリオ作成
・客観性を持って疑問を投げる
・判断を下す
- 違いを認める幅の広さ
・トップが方針として、風土改革をやるという方向性を打ち出して
いうことが最低条件です。
・「おかしいことを当たり前におかしいと思える感性」
「自分の利益以上に優先される思いの強さ」
「人の話を聞き、共感できる能力」
これらを持っている人が感度のいい人となり、リーダーとして
素質のある人です。
・物事を5人で決めれば、責任は分配されてしまいます。
そうすることにより、みんなに当該者という意識がなくなります。
- 感想投稿日 : 2011年12月23日
- 読了日 : 2011年12月23日
- 本棚登録日 : 2011年12月23日
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