なんとか会社を変えてやろう: 実践ガイド 企業風土改革の進め方

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (1999年5月1日発売)
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■書名

書名:実践ガイド なんとか会社を変えてやろう―企業風土改革の進め方
著者:柴田 昌治

■概要

成功や失敗の現場体験を基に,企業風土を改革するための実践的考え
方やアプローチのしかたを具体的に解説
99年に出版され,ベストセラーになった『なぜ,会社は変われないのか』
(日本経済新聞社)の第2弾。いまの日本社会に共通して見られる病理は,
「表立っては何も言わず,影で非難しあう」組織であり,「臭いものにフ
タ」をし,根底にある問題に目を向けようとしない体質だ。こうした状
態を放置すれば,近い将来,破局が訪れると指摘する。
「会社を変える」には,企業風土や組織体質などソフトの改革が必要だ。
改革のキーは,問題を見えやすくする,つまり,「おかしいと思うことを
おかしいと言えるようにすること」である。その第一歩として,「気楽
にまじめな話をする場」をつくることを薦める。

具体的には,意欲のある人を10~15人ほど集め,オフサイト・ミーティング
を行う方法だ。その際,互いの信頼関係を築けるよう,「聞き合う」こと
を主眼とすべきだという。また,改革を進める世話人の育成方法などに
ついても触れている。実際にコンサルティングした現場体験に基づいて
解説しているだけに,具体的で説得力がある。
(From amazon)

■感想

概要に書いてることが、ほぼ全ての本です。

『なぜ,会社は変われないのか』を読んだ後、続けて読みました。
基本的には言っている事は、同じです。

企業改革について、こういう順番で、こういう方法でやっていくべき
というのが細かく記載されています。

どの会社でも、全員が理想通りになるわけがないという前提で、やり
方を書いてあり、また、実績に伴って色々と記載されているので、
説得力はあります。

また、基本的に若い人(現場にいる人)ほど、この内容に敏感に反応
すると思います。
(本当に反応するべきは、上のバカな連中なのですが・・・)

上が本当にどうしようもない人間揃いであれば、あきらめるしかあり
ませんが、そうでなければ、少しずつ行動していくの価値はあると
思います。

まあ、後は、どこまで会社に尽くすかだと思いますが・・・

現場の人間って、問題は把握していますが、会社への帰属性が低い
ですからね・・・

面白い一冊ですが、現場の作業者が読んでも結局どうすればいいんだ!?
とな気がします。
実は、ある程度の権力がある人間向けの本です。
そして一番の問題は、こういう人間にこういう本を読む人間が少ない
ことでしょう・・・

■気になった点

・企業改革の中心課題とは「見えにくくなっている問題を見えやす
 くする」事が出発点だろうと思っています。

・企業改革をするには、まずは、風土、体質、文化(言っても無駄、
 言いだしっぺが損をする)という部分を改革していく必要がある。

・問題のある組織の体質は、以下のようになる。

 1)なるべく波風は立てない
   ※みんなで頑張っているのだから、余計な事は言わない
  ⇒2)問題を先送りにする(臭いものにはフタをする)
   ⇒3)信頼しない、お互い隠しあう
     ※言っても無駄、正直者、言いだしっぺはバカを見る
    ⇒4)表立って何も言わない。
      ※陰で批判しあう
     ⇒5)結果として牽制と足の引っ張りあい
      ⇒1)に戻る

・多くの関係者が善意で一生懸命やっているにもかかわらず、協力
 出来ない理由は「問題の共有が出来ていない(問題が見えていない)」
 からです。

 これを見つけるには、おかしいことは、素直におかしいと感じる事
 が出発点です。

・もぐら叩きの解決では無い、根本的な解決が必要となる。

・「あなたが頑張っている中にこそ、問題がいっぱい隠されている
 のではないでしょうか」という問いが自然に行われる必要がある。

・リ・コミュニケーションの基本的なスタイル

 - 形式ばらず気楽な雰囲気を作る
 - 結論を出すことをノルマにしない(結論が出ても問題はない)
 - 人の話をまずは「聞く」という姿勢
 - 立場を離れる
 - 相手にレッテルを貼らない
 - 正しいことを言いすぎない
 - 相手をやっけすぎない
 - 自分の弱みを素直に見せる

・日ごろから部署に関係なく、必要と思った人同士が密に話し合う
 場が形成されていることが重要です。

・「話し合い」というのは結局「上からの命令」でしかない。
 なぜならば、既に上が答えを持っていて、それに向かって説明する
 だけの場合が圧倒的に多いからです。

・大事なのは「話し合い」ではなく、「聞き合い」です。

・聞きあうことによって一時的に「何とかしないとモード」になって
 もそれは一時的でしかありません。これを継続的に耕すために、
 世話人が必要となります。

・世話人の資質は以下の通りです。

 - 課題達成至上主義で無い
 - 変革への思い入れが人一倍強い
   ※会社の指示ではなく、自分の思いで動く  
    活動を評価と結びつけない
 - 制約条件を絶対視しない柔軟性
 - フットワークのよさ
 - 人と人の橋渡しをする力
 - 起承転結の組み合わせ
   ・問題提起
   ・シナリオ作成
   ・客観性を持って疑問を投げる
   ・判断を下す
 - 違いを認める幅の広さ

・トップが方針として、風土改革をやるという方向性を打ち出して
 いうことが最低条件です。

・「おかしいことを当たり前におかしいと思える感性」
 「自分の利益以上に優先される思いの強さ」
 「人の話を聞き、共感できる能力」

  これらを持っている人が感度のいい人となり、リーダーとして
  素質のある人です。

・物事を5人で決めれば、責任は分配されてしまいます。
 そうすることにより、みんなに当該者という意識がなくなります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:ビジネス
感想投稿日 : 2011年12月23日
読了日 : 2011年12月23日
本棚登録日 : 2011年12月23日

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