深作さんによれば、目の寿命は個人差もあるがせいぜい70年くらいらしい。だから、それにあった使い方、心構えがいる。しかし、人間の体はそれ以上に長生きする。あるいは、長生きさせられる。そこでいろんな目の病気が問題になってきた。深作さんは世界的に有名な優秀な眼科医で、眼科医は目医者ではなく、外科医の一種でなくてはならないという立場だ。しかし、日本の眼科医は技術が低く、大病院であっても、まともな手術ができず、助かる病気も放置されたり、悪化したりしてきた。たとえば、緑内障はかかったら最後どうしようもないと言われているが、早期に手術すればそれなりによくなるそうだ。それをしないのは、医者に技術がないからである。深作さんは実は美術史家でもあり、眼科医の立場から画家の絵を分析した本『眼脳芸術論』(生活の友社)を出している。たとえばだれそれの絵の色彩が変化したのは、白内障の影響だとか、だれそれの絵の色の使い方から、その人が色盲であったとかという分析である。ぼくはこの本は先に読んでいたし、その人が有名な眼科医だということは知っていたが、本書をしばらく読むまでは同一人物だとはわからなかった。ただ、本書の一部はたしか少し前の『週刊現代』か『ポスト』かに出ていた記憶がある。その記事あるいは本書を読んで、深作さんに見て欲しいと思う人がどっと出てくるだろう。しかし、それだけに、診察までは1、2年待たされることになるのではないだろうか。
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- 感想投稿日 : 2016年12月26日
- 本棚登録日 : 2016年12月26日
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