「滅び」についての栗本薫さんの考えが様々な登場人物を通して語られた短編集。
滅びとは、世紀末、地球の終わり、この世界の最後-人類の滅亡について。
エイズがその原因として挙げられているのに時代を感じました。
どの作品も1980年代に発表されたものです。
私が普段から密かに、一日だけでいいからこうなればいいのに・・・と思っている願望がそのまま描かれたお話があって、頭の中をのぞかれたような気になりました。
『私たちは「人」を過大評価しすぎています。原発を行い、公害物質で地球を汚したのと、原発反対をすれば滅びはさけられると思いこむのとは、同じ自己過信と傲慢のあらわれと私には思えます。トキの人工交配をするのと同じようにそれはまちがっています。すべての存在は終りへ向かうエントロピーそのものです。滅びをとどめようと思うことは正しくない。アメリカバイソンが人の乱獲によってほろびたならば、それをざんげするよりは、ホモ・サピエンスもしずかに公害と自らの巨大化しすぎた文明によってほろびてゆけばよいのです。』
この本を読んで、やはり栗本薫さんはとんでもない才女で、時代を先読みする感覚のあった人だと思いました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
栗本薫
- 感想投稿日 : 2013年7月16日
- 読了日 : 2012年1月19日
- 本棚登録日 : 2013年7月16日
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