#塚森裕太がログアウトしたら

著者 :
  • 幻冬舎 (2020年10月22日発売)
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本棚登録 : 225
感想 : 27

〇SNSや仮面 のうそ臭さが、5人とそのまわりの人たちの裸の叫びを強く浮かびあがらせる。
本作ではカミングアウトでしたが、みんなそれぞれの大切なことでぶつかり合ったり、誤解しあったり、壊れてしまったり、思い合ったりしているんだよねと。
〇2章で、知識だけだと傷付けてしまうのだなとあらためて。頭でっかちになりがちなのだけど。
〇YAだけど、際どい場面があるので学校に置くなら高校くらいからか。
読後感よい青春もの。

プロローグ
中学1年のときに自分が同性愛者だと気付いた。優等生の仮面が息苦しくなってきた。
僕というアカウントからログアウトしたら、何があらわれるだろう

1:同族、清水瑛斗
学校の人気者、塚森裕太がインスタでカミングアウトした。あいつがカミングアウトできたのは“塚森裕太”だからだ。ふざけるな、“ゲイ”をカミングアウトできる人間ばかりじゃない

2:教育者、小山田貴文
娘がレズビアンらしい。私は教師だ。セクシャルマイノリティの子どもたちと向かい合う研修は受けてきたが、実際は真剣に考えてこなかった。それが半年前。塚森裕太のカミングアウトして、もう一度どうしたらいいのだろうと途方にくれた。

3:ファン、内藤まゆ
私は世界で1番の塚森先輩のファンだ。インスタを見て驚いたけど、うん、私は塚森先輩のファンであって恋人志望じゃない。でも、なんでかな喉が痛いの。

4:後輩、武井進
塚森先輩はおれのバスケの神さまだった。気さくで、優しくて、後輩思いで、バスケにストイックだ。コートの外でどんな人間でも、コートの中で神さまならば問題ない。そう思っていた。

5:当事者、塚森裕太
俺は変わりたかった。“塚森裕太”をログアウトしたら“俺”になれると思っていた。だけど、“塚森裕太”にゲイとう要素が付け加えられただけだった。
試合なのに、皆が“塚森裕太”を観にきたのに、体が動かないんだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 9類:YA
感想投稿日 : 2022年7月3日
読了日 : 2022年7月3日
本棚登録日 : 2022年7月3日

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