太古の昔から現在に至るまで、人々が「リスク」をどう考え、向き合ってきたのかに関する解説。主に数学者の取り組みであったことは考えてみれば当然か。ギリシャ・ローマ時代からギャンブルはあって、いかにして他人より有利になるかということから「リスク」の研究が始まったことは興味深い。しかもこの研究はルネッサンス時代まで続く。一方、当時は身分制度が厳格な時代であり、職業に関するリスクは全く考慮されない。つまり僧侶の子は僧侶、不可触民の子は不可触民である。19世紀になるとリスクを計算するのに不可欠な統計学が発達する。その中で、優秀な親からは優秀な子が生まれる確率が高いという分析結果があり(ただし、階級社会の非合理が全く考慮されていない)、これがのちの優生学となり、ナチスの選民思想につながっていく。
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- 感想投稿日 : 2017年1月17日
- 読了日 : 2017年1月17日
- 本棚登録日 : 2016年2月16日
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