2005年12月10発行の書。
たぶんタイトルをみて購入したのだと思う。
冒頭よりなんだかEBMに対する批判なんだけど、それはむしろ科学偏重の医療のあり方に対する批判であって、EBMを科学偏重ととらえた誤解から生じているんではないかと思う。
『EBMには分析データを絶対視する傾向がある(p.19)』『EBMという平均値の医療(p.189)』などという言葉にその誤解が伺える。
また、『医学』という語と『医療』が混在しているようにとれるが、著者がどのようにこの語を使い分けているのか、あるいは使い分けていないのがよくわからない。
内容としては、EBM・NBMを推奨しているようにも思えるのだけども、「EBMのような科学偏重はイカン」というような意見も飛び出すので興ざめである。
しかれども、医学(医療?)のあり方についての著者の意見は、時に冗長といえるほど解説されていて、見方によっては医療者やそれにふれる患者(潜在的な患者)への注意喚起や反省としてとらえることも出来る。
現代において絶対的な医療行為は存在しないことや、行われる医療行為の曖昧さを指摘している点はよいと思う。
けれども、世の中には、最良の医療の提供を目指している面々がいてその努力が存在していることを紹介してもいいのではないかとも思った。
読了後の感想としては、不満足。
「医学は科学ではない」
たしかに、医学は科学ではないかも知れない。が、それをどうアートに結びつけるかという内容を期待していたのかもしれない。
- 感想投稿日 : 2012年1月7日
- 読了日 : 2012年1月7日
- 本棚登録日 : 2012年1月7日
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