住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち (講談社+α新書)

  • 講談社 (2013年8月21日発売)
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ドイツついて知りたくて読書。

ドイツ歴30年という著者から見た日本とそしてドイツの比較論。

日本国外へ出て初めて日本の魅力、素晴らしさを知ることは本当に多い。しかし、現在の単なる日本礼賛的なムードは危険だと思う。外を見ようとせず、内向きだけを向き進もうとしているから。

2012年には初めてドイツへ行き、今年は10回近く行く機会があった。ドイツは、アメリカよりは旅行者視点で便利だと思うが、幼い時から抱いていたドイツのイメージとはかなり違っていた。

ドイツ人は、ルール好きで、律儀で、時間にも正確と言われているが、いずれも日本人が思っているのとは違う。また、日本好きでもなく、どちらかと言うと日本嫌いのほうが多いとさえ思われるくらい。

本文に登場する尖閣諸島についてのドイツ語版ウィキペディアの例にあるように、ドイツ在住の中国人や中国系の力でそのような既成事実が作られつつあるのが現実。韓国もまたしかりで、したたかなロビー活動や国家ぐるみでの働きかけの影響は大きい。

日本はこの現実を直視して、しっかりとした対策をしないといけない。むしろ、この点は中韓を見習うべきだと思う。「いつかきっと分かってもらえる」という妄想は、日本人同士で通用する価値観であることを知るべき。

日本はいい国だが、閉塞感がありどこか息苦しい。ドイツは移民が多いためか、職業や業務の分業が進んでおり、旅行者視点でも格差を感じるが、適当な雰囲気が漂っており、居心地は悪くない。

日独の義務教育の比較。労働環境の比較。鉄道の比較。サービス比較は面白い。
双方のいい部分が上手に取り入れられればそれが理想。

やはりどの国も行ってみないと分からないこと多い。

ドイツやヨーロッパのサービスの低さを考えると、人のマナーには問題あるが、中国は少しはまともな国に思えてくるから不思議だ。

本書でもっとも印象に残り、また激しく共感を覚えたのは、
世界の多くの国が、イメージのほうが実態よりも良いなかで、日本は、実態のほうがイメージよりも良い唯一の国ともいえる。(p4)

この点、日本にいるとまったく自覚しないことの1つだが、非常に重要な点だと思う。

読書時間:約1時間10分

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドイツ
感想投稿日 : 2015年11月10日
読了日 : 2015年11月10日
本棚登録日 : 2015年11月10日

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