犯罪心理学入門 (中公新書 666)

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  • 中央公論新社 (1982年10月22日発売)
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様々なケーススタディを元に、犯罪がどのような心理状態で行われるのか、犯罪者の生い立ち等との関係を分析していく。

私たちは普段、テレビのニュースなどで「凶悪犯、〇〇を惨殺」というような刺激的な犯罪をかいま見る時、無意識に「犯人が悪い。死刑にすべき」と短絡的に思ってしまいがちだが、実は犯罪の背景には犯罪者の生い立ちが深く関係していることもある。表面上の報道だけですべて感情論になってしまうのではなく、その背景にある犯罪者の生い立ちや性向を知ることで、冷静に事件の報道を見ることができるのではないか。

裁判員制度時代には、冷静に事件を見る目が必要となる。感情論的に、凶悪犯罪だから死刑というような短絡的な判断ではなく、犯罪の背景に潜む事情を斟酌して事件を判断することが必要となる。

その意味で、本書は参考となる。

また、「犯罪者」の定義と、私たちが実際認識する場合の「犯罪者」とに齟齬があるとの指摘は「なるほどな」と思った。つまり、「犯罪を犯した人」が「犯罪者」なわけですが、実際私たちが「犯罪者」と聞いて認識しているのは「凶悪犯」のような感じであるということ。

(2009年6月11日)

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カテゴリ: 人文科学
感想投稿日 : 2009年6月11日
本棚登録日 : 2009年6月11日

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