伯爵と妖精 祝福の子か夜の使者か (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社 (2012年8月31日発売)
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本棚登録 : 297
感想 : 29
5

ネタバレしないように書くと、大変に焦点のぼけたレビューになってしまいますが…。
最後に向かって、助走の段階はもう終わったのかもしれないと感じました。きっと、この本の時点で最終地点やエンディングは作者の中にあるのかなと。
ここまで築き上げてきた各キャラクターたちの歴史が、強さと優しさを与えてくれています。ここ数冊分、似たようなことを書いていますが、全員がお互いのことを思いやって行動しているのに、毎回胸を打たれます。誰かが何かを決意してくれるたびに、「あなたならそうしてくれると信じていたよ」と感動します。長いシリーズだからこその感覚ですね。
ケルピーが好きです。中盤からの彼は、ケルピー自身にも理解できない感情を持て余していて、良い意味で彼らしくない行動が増え、それについて違和感を感じなくなっていく彼は、最後にどんな景色を見るのでしょう。リディアに綺麗になったと口にした彼が見たのは、リディアの魂。じゃあ、アーミンの魂は?と思ってしまうのも、仕方ない。
不穏な空気はずっと漂っているものの、きっとみんななら大丈夫、とも思える。最後まで楽しみです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 和書(た行)
感想投稿日 : 2015年12月4日
読了日 : 2015年12月4日
本棚登録日 : 2015年12月4日

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