年上の義務 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2016年4月19日発売)
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本棚登録 : 130
感想 : 16

【概略】
 1年生は奴隷、2年生は平民、3年生は神・・・日本では、まだまだ「年齢の差」がきっかけの対応の違い、とるべき態度の違い、があったりする。とりわけ、「年下」に対する「かくあるべき」的意見は、よく目にする。しかしながら、それは、逆に「年上が単に主張している権利(希望)」であって、そしてその権利を獲得するための「義務」を年上は、果たしているのだろうか?
 「最近の若い者は・・・」「若者(の気持ち)がわからない」と口に出し始めた人は、ひょっとしたら、むしろ、自身の側のココロのありようが、分岐点に差し掛かっているのかも知れない。その分岐点において、参考になるものが本書には、ある!長年、様々な世代とやりとりをすることで、年下が無意識にもつ年上への希望、そして、年下が忘れがちになるココロの磨き方・・・とりわけ、年上の義務を、漫画家でもある著者が語る!

2018年12月31日 読了
【書評】
 少し自分語りになるけど、厳格な父親の下で育った自分は、結果を出して発言をするという育てられ方をしてきた。逆に言うと、結果を出さないと、なんの発言もできない訳だ。これってね、単体で、しかも実力主義の要素を色濃く出すと、(そのプレッシャーは別として)案外、いいんだよね。ところが、そうじゃない世界だと、タチが悪い。とりわけ、年齢を重ねて、どんどん「先輩」になっていくと、本当に、タチが悪い。なまじ結果なんか出しちゃってるから、「俺の言うこと、聞け!」になる訳だ。ホント・・・この性格、嫌で。嫌な思いも、してきてて。
 40過ぎて、色々あって、体中の血を全部入れ替えるぐらいの気持ちで、色々と自分をアップデートしてきてて・・・だから、こういう本を読むと、グサグサと、くる(笑)アイタタタタ・・・ってなる(笑)
 ホントね、もう「老害」寸前になっちゃうと思う。いるもん、自分の周囲でも。ちょっと意見言うと、「年下風情が!」とかなって機嫌悪くなって・・・そうなると、「あぁ、もうこの人には、何も踏み込んだこと、言わないでおこう」って、なる。「最近の年下は」って思ってる人は、案外、周囲の年下が、見限ってしまってるかも。
 本書内にあった「ご機嫌・不機嫌」の部分で、海女さんのエピソードも、とても実感があった。海女さんは素潜りで海底に長い時間いる。一歩間違うと、命を落とす危険な仕事、だから、ミスなどはまずい。そんな海女さんは、お仕事に入る前は、精神状態をつとめて「ご機嫌」にするそうだ。不機嫌な状態は、ミスも多くなるそうだ。 また、職人さんやなんらかの立場にいる人が、物事や自説を語る時も、ニコニコしているのとそうでないのとでは、伝わり方が全く変わるそうだ。この点は、昨年、自分が栄トーストマスターズクラブ(アメリカ発祥の任意団体、スピーチなどをしながらリーダーシップを磨く団体)で一年間、会長をやっていた時、意識していたことだったね。例会が始まる前に、いつも「よし!ご機嫌に!皆を楽しませるよ!」みたいな気合い、入れてたからね(笑)
 著者の山田玲司さん、漫画家でいらっしゃる。残念ながらマンガはまだ見たことがないけど、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」は最近、入会した。映画や漫画・アニメからメタ的に、クロニクル的に解説する手法は、本当に参考になるし・・・そもそも、楽しい。そんな著者さんが動画で話していた「寛容でいること」そして本書でも語られている「愚痴らない・威張らない・ご機嫌でいる」は、これから、ずっと刻んでおきたいね。
 毎日、ウェイ♪でいくよ。そして、お気楽なオトナでいようと思うよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人生の歩き方
感想投稿日 : 2018年12月31日
読了日 : 2018年12月31日
本棚登録日 : 2018年12月31日

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