DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

  • ダイヤモンド社 (2020年9月30日発売)
4.18
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本棚登録 : 8082
感想 : 714
5

【感想】
YouTubeの書評動画で知った本なのですが、一言でいうと、"エグイぐらい面白かった”です。
正直、読み始めて面食らった事が多すぎまして・・・かなり長文のReviewになりますが、是非お付き合いください(笑)

まず、タイトルの「DIE WITH ZERO」にある通り、「1つも財産を残さずにゼロになって死を迎えよう!」というのが本著の大きなテーマです。
これだけを見ると、「おいおい、刹那的な生き方の推奨なのか?」と誤解する方もいらっしゃるかと思いますが、全くもってそうではありません。
作中で、「死ぬ時に数万ドルの資産があるということは、その分『タダ働き』したのと同じ」と書いてありまして、その「タダ働き」するための時間を、仕事ではなく家族や友人との有意義な時間に充てろ!!という事が、筆者の1番の主張かと思います。
(※ちなみに、「子どもに遺産をビタ一文渡さない」という毛色の内容ではありません、詳しくは後述します。)

まず、そもそも筆者は、「人生で一番大切な仕事は『思い出づくり』だ」と主張しており、その思い出や経験のために惜しみなく金を使うことを推奨しています。
誰もが分かっている事ですが、人生は有限です。
そして、これは意識していない方も多いのでは?と思いましたが、「思い出づくりに勤しめる年齢」もまた、有限なのです。
色んな経験をせずに無駄に節約してお金を貯め、老後は体力低下の為に特にこれといったイベントを過ごすことなく、気がつけば莫大な資産を残して死んでしまう。
そんな人生、考えただけでゾっとしませんか?
本著では、そんな不安に対して、3つのポイントを紹介しています。

1つ目は、「今しかできないことに惜しみなく金を使え」ということ。
「金を無駄にするのを恐れて機会を逃すのはナンセンス、金を浪費することより人生を無駄にしてしまうことの方が、はるかに大きな問題である」と、強く主張しています。
僕もそうなのですが、特に変わり映えのしない生活を過ごし、目新しい趣味にも手を出さず、無駄遣いしてしまう事を忌み嫌うかのように考えている人は多いかと思います。
勿論、「惜しみなく金を使え!!」ってのを丸呑みして、何でもかんでも際限なく浪費してしまうのは愚の骨頂でしょう(笑)
流石に無駄遣いはよろしくないでしょうが、財布のヒモを必要以上に硬くしすぎず、自分の裁量の範囲内で何か目新しい事にお金をかけてチャレンジすることは、有意義な人生にかなり近付けるイイ事だと読んでいて思いました。

2つ目は、具体的に「45~60歳に資産を取り崩し始める」ということ。
年齢が上がれば上がるほど、あらゆる経験に対して自分自身の感度が弱くなってくるため、「純資産のピーク」を設定しようとのこと。
端的に言うなら、「健康で体力があるうちに金を使え」と主張しています。
昨今、老後の資金不足を煽るニュースが多く、沢山の方が不安に感じている事かもしれません。
ですが、喜びを先送りするにも限度がありますし、喜びを味わう機会を逃し続けながら日々苦労し続けて生きるのは、とても勿体ないでしょう。
このあたりは1つ目のポイントと重なるところもありますが、人生を「どれだけ資産を貯めまくれるか」といった下らないゲームにしないように、資産を取り崩し始める必要性を筆者は主張していました。
この考えにこそ、「DIE WITH ZERO」の真髄があるなと思いました。

3つ目は、「人生で何を経験したいのかを真剣に考えよう」ということです。
正直ぼくは、限りあるとはいえ途方もなく永い自分の人生において、何が大切かまだ分かっていません。
それはなぜか?あらゆる事を、まだ経験していないからです。
作中では、何度も「人生で一番大切な仕事は思い出づくり」と書いてあり、思い出を作る為のあらゆる経験を、老後ではなく今のうちにしておけと勧めています。
また、「経験の配当」というワードで、「モノは買った瞬間が喜びのピークだが、それに対して経験はそこから得る価値は思い出として時間の経過とともに高まっていく」という効果も紹介されていました。
人生は経験の連続。節約ばかりしていると、そのときにしかできない経験をするチャンスを失ってしまいかねませんよね・・・・・


自分自身、仕事の事は勿論ですが、「最近お金をどうやって稼ぐか、どうやって資産を最大化していくか」といった事ばかり考えていた気がします。
勿論現役バリバリのビジネスマンかつ一家の大黒柱ですので、そのような考えを捨て去る事は出来ません。
ですが、「今後の人生、自分はどんなことを経験しようか」とか、「今度は誰とどこでどんな遊びをしようか」などなど、目先の事ではなくそういった人生全般のことを考え、ありとあらゆる"思い出づくり"をしてみてはどうだろうかと思いました。
お金や仕事も大事ですが、限りある人生、大切な家族や友人たちと楽しくて有意義で幸せな"経験"を、沢山積みたいです。

以上、どの年代の人が読んでも興味深いテーマで、読後に色々と考えさせられる、かなり面白い1冊でした!


【DIE WITH ZERO 9つのルール】
ルール1:「今しかできないこと」に投資する
ルール2:一刻も早く経験に金を使う
ルール3:ゼロで死ぬ
ルール4:人生最後の日を意識する
ルール5:子供には死ぬ「前」に与える
ルール6:年齢に合わせて「金・健康・時間」を最適化する
ルール7:やりたいことの「賞味期限」を意識する
ルール8:45~60歳に資産を取り崩し始める
ルール9:大胆にリスクを取る



【内容まとめ】
0.人生で一番大切な仕事は「思い出づくり」
人生は経験の合計だ。あなたが誰であるかは、経験の合計によって決まる。
振り返った時、合計された経験の豊かさが、どれだけ充実した人生を送ったかを計る物差しになる。

1.アリとキリギリスの寓話
「人生には働くべき時と遊ぶ時がある」とあるが、アリはいつ遊ぶことができるのだろう?
短い人生を奴隷のように働いて過ごし、そのまま死んでいくのか?いつ、楽しい時を過ごすのか?

生きるために働かなければならないが、生きる以上のこと、「本当の人生」を生きること。
ただ生きるだけではなく十分に生きる。
経済的に豊かになるためではなく、人生を豊かにするための方法を考える。

2.人生は無限に続かない。今しかできないことに惜しみなく金を使え。
死が近づいて初めて、私たちは我に返る。先が長くないと知り、ようやく考え始めるのだ。
「自分は今まで一体何をしていたのだろう?」「これ以上先延ばしをせずに、今すぐ本当にやりたいこと、大切なことをすべきだ」と。

「今しかできないことに金を使う」。それこそが、この本で伝えたいことの核だ。
金を無駄にするのを恐れて機会を逃すのはナンセンスだ。金を浪費することより、人生を無駄にしてしまうことの方が、はるかに大きな問題だ。
大切なのは、自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまずに金を使うことだ。

3.経験の配当について
モノは、買った瞬間の喜びは大きいが、次第にその喜びは減っていく。
だが経験は、そこから得る価値は時間の経過とともに高まっていく。「経験の配当」だ。
節約ばかりしていると、そのときにしかできない経験をするチャンスを失う。

4.死ぬ時に数万ドルの資産があるということは、その分「タダ働き」したのと同じ事である。
どれだけ働いて金を稼いでも、まだ稼ぎ足りないと感じる人は多い。
しかし、莫大な時間を費やして働いても、稼いだ金を全て使わずに死んでしまえば、人生の貴重な時間を無駄に働いて過ごしたことになる。
そして、その時間を取り戻す術はない。
生きているうちに金を使い切ること。つまり「ゼロで死ぬ」ことを目指して欲しい

5.子どもに残すべき金は「別」である。そもそも、死んでから与えるのは遅すぎる。
子どもたちに与えるべき金を取り分けた後の、残りの「自分のための金」を生きているうちにうまく使い切るべき
自身の死後にすでに老人になった我が子に遺産が渡っても、大抵の場合は相続のタイミングが遅すぎるので、相続人は値打ちのある金の使い方ができない。

6.端的に言えば、まだ健康で体力があるうちに金を使ったほうがいい。
年を取れば、健康は低下し、物事への興味も薄れていく。性欲も減退するし、創造性も低下していく。
かなりの高齢になると、衰弱し、できる活動も限られる。
金から価値を引き出す能力は、年齢とともに低下していくのだ。

7.純資産のピークを作れ。
ゼロで死ぬことを目指すなら、純資産は人生のある時点から減り始めなければならない。
喜びを先送りするにも限度がある。
日々の生活にばかり気をとられて生きていると、ある日突然、人生の楽しみを後回しにしすぎてしまった後悔に苛まれるかもしれない。
喜びを味わう機会を逃し続けながら生きるのは、とても勿体ないことだ。



【引用】
アリとキリギリスの寓話の教訓として、
「人生には働くべき時と遊ぶ時がある」
とある。
だが、アリはいつ遊ぶことができるのだろう?
短い人生を奴隷のように働いて過ごし、そのまま死んでいくのか?いつ、楽しい時を過ごすのか?

生きるために働かなければならないが、生きる以上のこと、「本当の人生」を生きること。
ただ生きるだけではなく十分に生きる。
経済的に豊かになるためではなく、人生を豊かにするための方法を考える。

それが本書のテーマだ。


p4★
ルール1:「今しかできないこと」に投資する
ルール2:一刻も早く経験に金を使う
ルール3:ゼロで死ぬ
ルール4:人生最後の日を意識する
ルール5:子供には死ぬ「前」に与える
ルール6:年齢に合わせて「金・健康・時間」を最適化する
ルール7:やりたいことの「賞味期限」を意識する
ルール8:45~60歳に資産を取り崩し始める
ルール9:大胆にリスクを取る


p17
死は人を目覚めさせる。
死が近づいて初めて、私たちは我に返る。
先が長くないと知り、ようやく考え始めるのだ。

自分は今まで一体何をしていたのだろう?
これ以上先延ばしをせずに、今すぐ本当にやりたいこと、大切なことをすべきだ、と。

だが残念なことに、私たちは喜びを先送りしすぎている。
手遅れになるまでやりたいことを我慢し、ただただ金を節約する。
人生が無限に続くかのような気持ちで…


p18★
・今しかできないことに惜しみなく金を使え
いつかは誰もが死ぬ。だからここ、限られた時間の中で最大限に命を燃やす方法を考えなければならない。

今しかできないことに金を使う。
それこそが、この本で伝えたいことの核だ。
金を無駄にするのを恐れて機械を逃すのはナンセンスだ。
金を浪費することより、人生を無駄にしてしまうことの方が、はるかに大きな問題だ。
大切なのは、自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまずに金を使うことだ。


p21★
人生の充実度を高めるのは、“そのときどきに相応しい経験”なのだ。
時間と金という限りある資源を、いつ、何に使うか?
この重要な決断が、私たちの豊かな人生を送るカギなのである。


p32
・経験の配当について
モノは、買った瞬間の喜びは大きいが、次第にその喜びは減っていく。
だが経験は、そこから得る価値は時間の経過とともに高まっていく。「経験の配当」だ。
節約ばかりしていると、そのときにしかできない経験をするチャンスを失う。


p38★★
人生で何を経験したいのかを真剣に考えよう。
どれくらいの回数、それを味わいたい?
些細なことでも壮大でも、タダでも効果でも、チャリティでも快楽主義でも構わない。
とにかく「有意義で思い出に残るモノ」という観点から、一度きりの人生で本当に何がしたいのかを考えてみよう!


p44
・人生で一番大切な仕事は「思い出づくり」
人生は経験の合計だ。あなたが誰であるかは、経験の合計によって決まる。
振り返った時、合計された経験の豊かさが、どれだけ充実した人生を送ったかを計る物差しになる。


p56
金を払って得られるのは、その経験だけではない。
その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当という副次的なものも含まれているのだ。


p70★★
どれだけ働いて金を稼いでも、まだ稼ぎ足りないと感じる人は多い。
しかし、莫大な時間を費やして働いても、稼いだ金を全て使わずに死んでしまえば、人生の貴重な時間を無駄に働いて過ごしたことになる。
そして、その時間を取り戻す術はない。

死ぬ時に数万ドルの資産があるということは、その分「タダ働き」したのと同じ事である。
生きているうちに金を使い切ること。
つまり「ゼロで死ぬ」ことを目指して欲しい。


p84
・年を取ると、人は金を使わなくなる。
概して、人は自分の資産を使い始めるのが非常に遅い。
資産額が多い人々(50万ドル以上)は、死亡するまでにその11.8%しか使っておらず、88%を残して無くなっている。
資産額が少ない人(20万ドル未満)でも、退職後に資産の4分の1しか減っていない。
「老後のための貯蓄」が、いざ退職してもその金を十分に使っていないのだ。


p100
・貯蓄より長寿年金
たとえは60歳の時点で50万ドルの長寿年金を購入し、その見返りとして残りの人生毎月2400ドルが保険会社から支払われる。
これによって、死ぬ前に資産が尽きないようにしながら、生きているうちに金を使い切るといった方法をとることができる。


p114
・子どものことはどうするの?
子どもに残すべき金は「別」である。
そもそも、死んでから与えるのは遅すぎる。
大抵の場合、相続のタイミングが遅すぎるので、相続人は値打ちのある金の使い方ができないのだ。

子どもたちに与えるべき金を取り分けた後の、残りの「自分のための金」を生きているうちにうまく使い切るべきだ、ということだ。
せっかく何年も働いて貯めた金を、誰に、いつ、どのくらい与えれば最も効果的なのか、真剣に考えること。


p156
・「給料の◯%を貯蓄する」はやめよう
収入と支出のバランスは確かに大切だが、貯蓄に回すべき割合は年齢によって変えていくべきだ。
若くて今後も収入増が見込める状態で、何も考えずに収入の10%を貯蓄していたとしたら、思い出に残る経験に金を使うチャンスを逃していることになる。
将来の自分のために、今の自分が稼いだ金を捧げていることにもなる。
一生という視点でみれば、これは最適な金の使い方とは言えない。


p164★★
端的に言えば、まだ健康で体力があるうちに金を使ったほうがいい。
年を取れば、健康は低下し、物事への興味も薄れていく。性欲も減退するし、創造性も低下していく。
かなりの高齢になると、衰弱し、できる活動も限られる。
金から価値を引き出す能力は、年齢とともに低下していくのだ。


p173
・「金、健康、時間」のバランスが人生の満足度を高める。
20代の人は健康で自由な時間もあるが、金はあまりない。
逆に60代以上の人は、時間は豊富にあり、大抵金も持っているが、健康状態は衰えている。
健康と富のバランスのいい年代、人生の真の黄金期は30?40代である。だが、この年代の人は時間が不足しがちである。


p175★
金ではなく、健康と時間を重視すること。
それが人生の満足度を上げるコツなのである。
余裕があるなら、もっと積極的に金で時間を買うべきだ。
また、健康ほど経験を楽しむ能力に影響するものはない。


p190
・ルール7:やりたいことの「賞味期限」を意識する
実際、私たちが思っているほど先延ばしできない経験は多い。
どんな経験でも、いつか自分にとって人生最後のタイミングがやってくる。
私たちは皆、人生のある段階から次の段階へと前進し続ける。ある段階が終わることで小さな死を迎え、次の段階に移る。

人は終わりを意識すると、その時間を最大限に活用しようとする意欲が高まるのである。


p193
・予定数週間の患者たちの2つの後悔
1.勇気を出して、もっと自分に忠実に生きれば良かった
2.働きすぎなかったらよかった


p198★
・「タイムバケット」で後悔しない人生をつくる
→物事にはそれを行うための相応しい時期がある。

1.まず、現在をスタート地点にして、予測される人生最後の日をゴール地点にする。
2.それを5年または10年の間隔で区切る。これがやりたいことを入れる「タイムバケット(時間のバケツ)」になる。
3.次に、あなたが死ぬまでに実現させたいと思っている活動やイベントについて考え、書き出す。
金のことは気にせず、死ぬまでにやりたいことを無条件で考える。




p213★★
私たちは喜びを先延ばしにし、将来のために貯金をする。それは決して悪いことではない。
毎月の生活費、子供たちの世話、毎日の食事の準備。
そんな日常生活を送るためには、今の楽しみを我慢し、未来に備える能力も必要だ。
だが、喜びを先送りするにも限度がある。
日々の生活にばかり気をとられて生きていると、ある日突然、人生の楽しみを後回しにしすぎてしまった後悔に苛まれるかもしれない。
喜びを味わう機会を逃し続けながら生きるのは、とても勿体ないことだ。

純資産のピークを作れ。
ゼロで死ぬことを目指すなら、純資産は人生のある時点から減り始めなければならない。


p258
ルール9:大胆にリスクを取る
・大胆に行動するための3つのポイント
1.リスクを取る、大胆な行動に出るのなら、一般的に人生の早い段階が良い。
2.行動を取らないことへのリスクを過小評価するべきではない。行動して得られるはずだった経験値を失っている可能性がある。
3.「リスク」と「不安」は区別すべき。


p265★
覚えておいて欲しい。
人生で一番大切なのは、思い出をつくることだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 名作(再読の価値がある本)
感想投稿日 : 2021年5月12日
読了日 : 2021年5月12日
本棚登録日 : 2021年5月12日

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コメント 2件

yyさんのコメント
2021/05/19

きのPさん、素敵なレビューをありがとうございます。
ずいぶん前、日産自動車の宣伝に「モノより思い出」というコピーがあったと思います。
「これを作ったコピーライターさんはすごい!」と、感動したことを思い出しました。
人生を豊かに生きるためには、とっても大事なことなのだと思います。
こういう考え方をして暮らせば、人にも優しくなれますね、きっと。

きのPさんのコメント
2021/05/20

yyさん
コメントありがとうございます!
日産のあのキャッチコピーは本当に印象に残りますよね♪
勿論、より良い人生にするにはお金も必要不可欠なツールなのですが、そのツール集めに終始するなという提言を本書からは感じました!

恥ずかしい話、僕はかなりケチな人間ですので・・・・
これからはお金に執着しすぎず、家族や友人とイイ経験を沢山重ねることにもお金や時間を割きたいと思います!笑

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